経済の死角

「シェールガス革命」は必ずしも日本に"バラ色の未来"をもたらさない、という厳しい現実

2013年07月09日(火)
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シェールガスを含む頁岩 〔PHOTO〕gettyimages

文/ 野神隆之(JOGMEC 石油調査部上席エコノミスト)

 最近はやや落ち着いた感があるが、一時日本は空前の"シェールガス革命ブーム"に沸いていた。シェールガス革命により天然ガスが世界中に溢れるとともに販売と値引き競争が発生、価格が大きく低下することで世界が大きく変化する、と。その天然ガスによって近々、日本も恩恵を受け経済が大きく発展する、というようなイメージがあらゆるメディアを通じて人々の頭に刷り込まれていった。

 東日本大震災後、原子力発電所の稼働停止を受け、その代替燃料として高価な液化天然ガス(LNG)を輸入しなければならなくなった結果、2011年度の貿易収支は統計として比較できる1979年度以降で最大の赤字となった。そんな日本にとってシェールガスは、かように高いエネルギーコストを即座に、かつ大幅に引き下げ、経済にバラ色の未来をもたらす切り札になると、人々の期待を一身に集めたのである。

 筆者はその当時、自ら収集した国内外の天然ガス等のエネルギー市場及び産業情報をもとに分析を実施した。その結果、果たしてシェールガス革命は日本経済にとってそのようなバラ色の未来をもたらすものなのかどうか甚だ疑問である、という結論に至っていたし、そのような見方は楽観的過ぎるとしてしばしば警告を発してきたところである。

世界のエネルギーについての現実

 ただ、当時はバラ色のイメージに勢いがつき過ぎてしまっていた。また、イメージが派手であればあるほど、必ずしも適切とは言えない分析が人々の心を捕えてしまうものである。そのような状況で、筆者のように「シェールガス革命は日本に必ずしも恩恵をもたらすものではない」と言ったところで、事態はあまり変わらないであろうし、その深刻な事態を打開するためには、場合によっては痛みを伴う努力をしていかなければならない、と忠告したとしても誰も耳を貸さないものである。

次ページ  しかしながら、正しい認識を持…
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