ネットでの『あまちゃん』視聴はなぜ有料か 視聴者よりも利害調整を優先させたNHKのアンバランス

2013年07月09日(火) 町田 徹
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 しかし、関係業界と利害関係者への細やかな配慮と比べると、受信料を支払っている視聴者の便益に関する議論や配慮が後回しにされている感が強いのは否定できない。
 インターネット関係業務の位置付けを「補完」や「付随」といい、必要なコストの大部分を受信料で賄いながら、提供されるサービスに受信料とは別に料金を課す有料サービスにするのでは、受信料を支払っている視聴者からすれば、料金の二重取りになりかねない。
 もちろん、インターネットによる番組や情報の提供には、放送では不要だったコストが必要になる面はある。配信サーバや専用番組作りの費用はそういったコストの一例と言えるだろう。

受信料を支払っている人は無料か割引に

 しかし、そうした追加コストは受信料を支払っていないネットサ―ビスのみの利用者から徴収することとして、受信料を支払っている人には無料で利用できる道を開くとか、双方とも有料にするならば受信料を支払っている人に割引制度を設けるといった配慮が必要と思われる。

 参考になるのは、英国やドイツの例だ。
 こうした国々では、周波数の免許を受けて放送設備を占有する「ハード」の部分と、番組を制作する「ソフト」の部分の業務分離が進んでおり、単純に比較しにくい面もあるが、インターネットでの情報や番組の配信を従来の放送と同様に「公共放送の本業」と位置付けて、追加のコストを徴収せずに、無料で情報や番組を視聴できる仕組みを多く取り入れているからだ。

 日本では、競争の激化を嫌う関係業界への配慮を優先して、NHKのインターネット業務を引き続き、「補完」や「付随」と位置付けたために、こうしたネット放送の無料提供を義務付けられないという結果を招いたのは、皮肉と言えば皮肉な話だ。
 NHKのインターネット業務の拡大は、より抜本的なNHKの改革の必要性も含めて、突っ込んだ議論をしてほしいテーマである。

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