ネットでの『あまちゃん』視聴はなぜ有料か 視聴者よりも利害調整を優先させたNHKのアンバランス

2013年07月09日(火) 町田 徹
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 しかし、最近では、朝日新聞社、日本経済新聞社の有料の電子新聞サービスが一定のシェアを確保するようになってきたうえ、メディアとネットを取り巻く環境が激変していることもあり、ようやく民間メディアの反発が和らぎつつあるという。とはいえ、「教育番組が脅威になる」と新たに教育産業が反対姿勢を強めている事実もある。

 こうした事情を反映した妥協案というのが、今回の報告書の性格だ。難色を示す関係業界をなだめすかして、NHKのインターネット業務拡大への了解を取り付ける体裁になっているのである。

 例えば、受信料を主体とした本業と切り離して、別途有料の新ビジネスを拡大する戦略はタブー視されているため、これまで通り、インターネット関係業務の位置付けを「補完的」「付随的」なものにとどめるとした。

 年間の支出(現行40億円程度)をみても、受信料(24年度決算総額6,387億円)と比べてむやみに拡大しないよう歯止めをかけるとしているほか、市場に大きな影響を及ぼしていないか事後的にチェックする体制を敷き、教育、災害、気象など様々な情報・番組市場をNHKが席巻してしまうことがないように監視する仕組みを整えるという。

視聴者の便益に関する議論や配慮は後回し

 そのうえで、これまで個別の業務ごとに細かく審査して認可を与える仕組みだったのを改める。NHK自身が取り組みたい業務を一括して申請して、これに認可を与える方式に変更することで、NHKのネット業務に関する自由度と機動性を高めるとしているのだ。

 筆者が取材したところ、ネット業務への支出額のめどは「受信料の1、2%」(総務省幹部)といい、事業規模が100億円以上に達するようなことはさせないという。
 これらの施策については、今回の法改正が長年の「民業圧迫」批判に終止符を打つための第1歩と考えれば、やむを得ない選択と言えなくもないかもしれない。

 

次ページ  しかし、関係業界と利害関係者…
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