ネットでの『あまちゃん』視聴はなぜ有料か 視聴者よりも利害調整を優先させたNHKのアンバランス

 朝の連続ドラマ『あまちゃん』が上位を独占する動画配信サービス「NHKオンデマンド」や、リアルタイムで番組が聴けるネットラジオ「らじる★らじる」のようなインターネットによる番組・情報提供の認可手続きを大胆に簡略化して、これまでより積極的に取り組ませる---。
 総務省がこんな方針を盛り込んだ「放送政策に関する調査研究会」の報告書案をまとめ、一般から幅広く意見を聞くパブリックコメントを今月28日締め切りで募集している。

 しかし、報告書の内容をみると、NHK自身がどんなサービスを拡充したいのかがまだはっきりしない。加えて、総務省が関係業界との利害調整に汲々とし過ぎた結果、肝心の視聴者の視点が抜け落ちてしまった感も拭えない。
 よい機会だから、視聴者の皆さんが何を期待するのか、パブリックコメントで意見を表明してみてはいかがだろうか。

「放送政策に関する調査研究会」の報告書は、言わば、総務省が来年春の通常国会で予定している放送法改正にお墨付きを与えるための儀式だ。今のところ、総務省は、同法の改正に、民放のマスメディア集中排除原則の緩和、NHKの国際放送の維持・充実と並ぶ柱として、NHKのインターネット関連業務を巡る規制の緩和を盛り込むことを考えており、報告書もその意向に沿った内容になっている。

長年にわたりNHKのネット事業は「民業圧迫の象徴」だった

 そこでNHKのインターネット業務だが、1990年代にインターネットが社会的に普及し始めた頃から、これに対応したネット業務の充実は、NHKの悲願になっていた。
 ところが、2000年代初頭に、NHKが新聞社も手掛けていないような本格的な電子新聞サービスと開始を目論んでいるとの観測が流れ、NHK自身もこれをはっきりと否定しなかったため、新聞社や民間放送局が猛反発。長年にわたって、「民業圧迫の象徴」とされ、こう着状態が続いていた。

 しかし、最近では、朝日新聞社、日本経済新聞社の有料の電子新聞サービスが一定のシェアを確保するようになってきたうえ、メディアとネットを取り巻く環境が激変していることもあり、ようやく民間メディアの反発が和らぎつつあるという。とはいえ、「教育番組が脅威になる」と新たに教育産業が反対姿勢を強めている事実もある。

 こうした事情を反映した妥協案というのが、今回の報告書の性格だ。難色を示す関係業界をなだめすかして、NHKのインターネット業務拡大への了解を取り付ける体裁になっているのである。

 例えば、受信料を主体とした本業と切り離して、別途有料の新ビジネスを拡大する戦略はタブー視されているため、これまで通り、インターネット関係業務の位置付けを「補完的」「付随的」なものにとどめるとした。

 年間の支出(現行40億円程度)をみても、受信料(24年度決算総額6,387億円)と比べてむやみに拡大しないよう歯止めをかけるとしているほか、市場に大きな影響を及ぼしていないか事後的にチェックする体制を敷き、教育、災害、気象など様々な情報・番組市場をNHKが席巻してしまうことがないように監視する仕組みを整えるという。

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