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市川裕康「デジタル・キュレーション」
2013年07月05日(金) 市川 裕康

開設14ヵ月で月間ユニークユーザー数が3000万! ~史上最速で急成長するバイラル・メディアサイト「Upworthy」の秘密

共感・感情に基づいたキュレーションのしくみ

 月間訪問者数を一気に3000万人にまで押し上げたのは、ある1本の動画を紹介した記事です。それは癌により余命数ヵ月と宣告された17歳の少年を追ったものです。死に直面しながらも自分で作詞・作曲した歌をレコーディングするなどして、最期まで前向きに生きようとした若者の感動的なストーリーでした。

 この動画自体はすでにテレビ番組やニュースサイトで取り上げられていたにもかかわらず、秀逸なタイトルとUpworthyが持つ抜群の拡散力によって、同サイトに1500万人もの訪問者をもたらしたのです

 『This Kid Just Died. What He Left Behind Is Wondtacular.(この若者が先日亡くなった。彼が残したものは素晴らしく、目を見張るものだった)』("Wondtacular" はWonderfulとSpectacularを掛け合わせたスラング)と題したこの短い紹介記事は、ソーシャルメディア上にセンセーションを巻き起こし、亡くなった若者がiTuneストアにアップしていたオリジナル曲をランキング1位に導きました。そして、彼が生前に設立した癌治療のための基金に対して30万ドルもの寄付を集めてみせたのです。

 父親を癌で失った経験を持つUpworthyのスタッフが動画を見て涙が止まらなくなり、「これは絶対に多くの人と共有したい」という想いを強く持ち、紹介したのがきっかけです。しかも形式ばったタイトルではなく、読者が共感するようなスラングを含んだものを敢えて選んだことも大きなポイントの一つでした。

参照:【ビデオ】ハンカチ無しでは見られない「GT-R」と不治の病で亡くなった少年との物語」 Autoblog 日本版, 5/26/2013

 Upworthyは、長期間にわたる調査報道とは異なり、オリジナルの記事は作成せず、あくまでも価値ある既存のコンテンツをパッケージし直して世に問うことをミッションに掲げています。ときに数ヵ月、数年前に作成されたコンテンツも掘り起こし、時間を超えて"バイラル"な拡散を可能にします。センセーショナルメディアと揶揄されることもありますが、こうしたあり方や役割が今日のメディアに求められているということを、顕著に示してくれているのです。

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