わかりやすい伝え方の法則
【第1回】 「わかりやすく伝える」とは?

〔PHOTO〕gettyimages

 「なぜ、わかってくれないんだ・・・」
 「あれだけ言ったのに、なぜ、あの人はこんなにトンチンカンなことをするんだ・・・」
 「どうして、こんなに話が噛み合わないんだ・・・」

 私たちは、日々このような思いを抱きながら過ごしています。プライベートでのやり取りでもそう感じることはありますし、ビジネスにおいてはなおさらです。私自身、社会人になってから3つの会社で働きましたが、どこでも同じような思いをしました。

 報告、連絡、相談、依頼、指示、打ち合わせ・・・。

 会社の仕事は、コミュニケーションをベースに成り立っています。部下の報告が正しく伝わらなければ、どんなに頭の切れる上司であっても判断を間違えることでしょう。あるいは、上司の指示が正しく伝わらなければ、どんなに部下が一生懸命に働いても、その仕事はムダに終わってしまいます。

 どんなに素晴らしい商品であっても、その魅力を伝えられなければお客様に買っていただくことはできません。「伝える」ことが、あらゆる仕事の基礎にあるのです。

 ところが、ほんの少し込み入った内容になるだけで、うまく伝わらない。いや、ごくごく簡単な事柄ですら、伝えたつもりが伝わっていない。そのために、思うように仕事が進まなかったり、「言った、言わない」の言い争いになったり、わかってくれない相手に思わずイライラしてしまったり・・・。私自身、何度もそんなストレスを感じたものです。

わかりづらいことで、みんながどれだけのストレスを抱えているか---。
 わかりやすく伝えることで、どれだけ楽になるか---。

 わかりやすく伝えることができれば、仕事の現場が変わるはずです。

「わかる」には3つの種類がある

 相手の話をスッと理解できた時、「わかりやすかった」と感じます。逆になかなか理解できない時は「わかりづらい!」と感じます。

 このように、多くの方が一口に「わかりやすい」「わかりづらい」と分類します。受け手としてはそれでも構いませんね。

 でも、みなさん自身が「わかりやすく伝えたい」と思うのであれば、そこから一歩踏み込んで分析する必要があります。

 「わかりやすい」と感じるのは、その話を「わかる」からです。当たり前です。しかし、じつは「わかる」には3段階あります。その3段階をすべて満たしたとき、はじめて人は「わかった」「理解した」ことになるのです。

 では「わかる」ために必要な3段階とは何か?

①情報の内容を把握する
②情報の内容を納得する
③情報の内容を再現する

 これです。それぞれについて、説明していきます。

【情報の内容を把握する】

 たとえば、自分が知らない言語(聞いたことがない言葉)で伝えられても、内容を把握することはできません。また、どれが「主語」で、どれが「述語」かがよくわからない文章を読んでも、意味を正しくとらえることはできません。

 さらに、「話の大枠」「話の大筋」を知らされずに細々した話をされても「何の話をしてるんだろう?」とチンプンカンプンですね。

 つまり、「情報の内容」を把握できなければ、理解することなどできるはずがない、のです。

【情報の内容を納得する】

 相手が言っていることの意味がわかっても、その話が納得できなければ、「わかる」ということにはなりません。「言っていることはわかるけど・・・、なんでそう言えるの?」と思っているうちは「わかった」ことにならないんです。

 たとえば、投資会社の社員にこんな話を持ちかけられたとします。

 「いい投資話があります。この株を買えば、絶対に儲かります」

 みなさんは、この話を「わかりやすい!」と感じますか? これだけで「なるほど!」とお金を出しますか? 出しませんよね。それは、なぜ、その株が値上がりするのか、まだ納得していないからです。だから、相手がスッと納得できるような伝え方が必要になるのです。

【情報の内容を再現する】

 入ってきた情報を、相手がひとりで「こういう話だった」と頭の中で再現できなければ、「わかった」とはなりません。みなさんも、話を聞いたあとで、「あれ? どういう話だったっけ?」と感じた経験はありませんか?

 話を聞いているときは、一文一文の意味は明確にわかるし、話の組み立ても上手で、「なるほど、そういうことね!」と納得できた。だけど、次の日になると思い出せない。「あれ? どうして、あの結論になるんだっけ?」「どういう話だったっけ?」。何の話だったかは覚えているものの、内容を忘れてしまいました。

 これでは、「わかった」「理解した」とは言えません。話を聞いているときには「なるほど!」と納得したとしても、後でひとりになったときにその内容を思い出して、論理や結論を自分で「再現」できなければ、「わかった」とはいえないのです。

 「ああでこうなって、こうなるから、ああなるんだな」と、いつでも自分の頭のなかで話を組み立てられるようになって、はじめて「わかった、理解した」ことになるのです。

 このように、一口に"わかる"といっても、実際には3つの段階(種類)があります。どれが欠けても"わかった"とはなりません。この3つが揃って、初めて人は、それまで知らなかった内容を"わかる"ことができるのです。

 ということはつまり、「わかりやすく伝える」ためには、これらの3つが揃わなければいけないということです。どれが欠けても、みなさんの説明は「わかりづらい!」となってしまいます。

 「伝え方」を磨くには、まず「"わかる"にはこの3つの段階がある」ということを知らなければいけません。そして、自分が苦手な個所、これまで意識していなかった段階を知るところから始めなければいけないのです。

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