200億円の申告漏れが指摘された"先進経営企業"HOYAで燻る CEOワンマン体制vs.国税、そして創業一族

 東京国税局が、光学機械メーカー大手のHOYA(本社・東京都新宿区)に対し、約200億円の申告漏れを指摘していたことが明らかになった。
 日本で生み出された「製造技術」という無形資産を、契約に基づいて海外の子会社に帰属させていたというもの。海外子会社に利益を移し替えた企業に対し、本国での課税逃れを防ぐ「移転価格税制」を適用した。

 移転価格税制は、グローバル企業の宿命である。合法の範囲内で節税したい企業は、取引に海外子会社を利用、節税を図りたい。
 これに対して国税当局は、節税工作を「課税逃れ」と見なして封じ込めたい。
 ただ、グローバル企業はそうした国税当局の思惑は百も承知で法的に備えており、国税不服審判所に持ち込まれ、審査で課税取り消し処分になることが少なくない。

指摘に踏み切ったのはこのケースが他に伝搬するのを恐れたから

 最近も、移転価格税制に基づく、大阪国税局の武田薬品工業に対する1,223億円の申告漏れの指摘が、全額取り消された。HOYAも「東京国税局との見解の相違」を理由に、課税処分の取り消しを求める方針だ。
 国税当局には、申告漏れが認められずに取り消しになると、納付済みの税金に加えて還付加算金を戻さねばならないというリスクもある。

 にもかかわらず、今回、課税に踏み切ったのは、HOYAのケースを認めると、他に伝搬しかねないからだ。

 国税関係者がいう。

「HOYAが製造技術という無形資産を海外子会社に帰属させたのは、子会社から研究開発の委託を受けていたから、というものです。これを認めれば、グループ間の契約によって、資産はどのようにも付け替えることができるようになります。それは、いくらなんでも認められない」

 HOYAが、外国人投資家に人気の先進経営を敷いていることは、証券界ではよく知られている。

 なにしろ、初めて社外取締役を受け入れたのは1995年で、2003年には全取締役の過半を社外取締役とした。今では、「社内」は鈴木CEOひとり。残る6人の取締役はすべて「社外」である。

 こうして社外からの監視体制を厳しくする一方で、自己資本利益率(ROE)重視の経営方針を早くから打ち出し、四半期決算の開示、国際財務報告基準(IFRS)の早期適用など、なにもかも早く導入、だから「先進経営」なのである。

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