キーワードは"自前主義からの脱却と協業"---ホンダとエバーノートに見る"現場主導の成長戦略"とは
[左から]筆者、國光宏尚氏(gumi代表)、小田切未来氏(経済産業省)

アベノミクス3本目の矢はすでに折れているという指摘

 安倍政権が成長戦略の柱の一つに掲げるクールジャパン政策。先月、国会では官民ファンド「クール・ジャパン推進機構」を設立するための法案が可決成立し、500億円が投入されることが決まった。今後、アニメやゲームなどのコンテンツ、ファッションに加え、日本食、伝統工芸、伝統文化、自動車などを投資対象として、政府が音頭をとって支援していくことになる。

 このコラムではシリーズで、クールジャパン政策の可能性と課題について探ってきた。ソーシャルゲームの世界展開で急成長を遂げるgumi代表の國光宏尚氏は、政府主導の現政策の方向性について、真正面から次のように指摘した。

 「クールジャパンの今の方向性は間違っています。問題は、国が支援をしすぎで過保護であること。現地と一人も繋がれない雑魚企業を支援する必要はありません。企業に関していえば、いいものを作れば売れると未だに思っていますが、これは大きな間違いです。売れるモデルの構築が大切です」

 さらには、選択と集中を促し、個別単位での投資をやめプラットフォームの構築に向けた大規模な投資こそ国家が担うべきだと語った。

 一方、経済産業省でクールジャパン政策を牽引する官僚の1人、小田切未来氏は「現在のクールジャパン戦略に対して寄せられる批判点、それは、点が面になっていないこと。単なるイベントにおわってしまうといった指摘です」と率直に語り、海外現地コミュニティとの連携を強化し華僑のようなネットワークを構築する必要があると持論を述べた。

 先月英国・北アイルランドでおこなわれたG8(主要国首脳会議)では、ドイツのメルケル首相が安倍総理大臣と1時間以上に亘って会談。巨額の借金を抱える中でどのように成長戦略を打ち出し実行していくのかについて具体的な質問が続いたと報じられた。"噂で買って実で売る"という投資家たちの視線は、日本が打ち出す成長戦略の実効性の行方を厳しく見つめている。

レッドウッドシティにあるエバーノート本社

 今、日本に求められる実行力とは具体的にどのようなものなのか。筆者が掲げるキーワードは"自前主義からの脱却と協業"だ。今、米国カリフォルニア・シリコンバレーでは、伝統的既存産業である日本の自動車メーカーと新興IT企業の協業により、新産業の開発に向けた模索が始まっている。

 シリーズ最終回は、自動車メーカー「ホンダ」とクラウド型の情報記録サービスで成長を遂げた「エバーノート」の協業による取り組みから、官ではない、現場主導の成長戦略を報告する。

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