ドイツで1日に6000万本の通話記録を収集!? 常軌を逸した米NSAの監視活動

〔PHOTO〕gettyimages

 欧州の主要メディアは先頃、米国家安全保障局(NSA)が欧州連合(EU)や日本、韓国など同盟国に対してもスパイ活動を行っていたと報じた。現在、亡命を求めて逃亡中のエドワード・スノーデン氏から得た情報とされる。

 これらの報道によれば、NSAはワシントンD.C.やニューヨークにあるEU代表部、さらにはブリュッセル(ベルギー)にあるNATO(北大西洋条約機構)本部などを盗聴していた。またスノーデン氏が持ち出した文書のうち、2010年9月に作成されたものには、NSAがスパイ活動の対象とする38ヵ国のリストが記されており、そこには中東諸国などと並んで、フランス、イタリア、ギリシャ、日本、韓国、メキシコ、インド、トルコなど、米国の同盟国も含まれていたという。

 このリストにドイツは含まれていないが、(最初にこの件を報じた)独Spiegel誌の記事を引用した英Guardian紙の記事によれば、欧州諸国の中でNSAが最も激しくスパイ活動をしていたのはドイツに対してであるという。

●"New NSA leaks show how US is bugging its European allies"
The Guardian, 30 June 2013

 NSAはドイツを、中国、イラク、さらにはサウジ・アラビアなどと並ぶ最高度のスパイ活動対象国に分類している(という事実は、恐らく上記2010年9月の文書以外の文書に書かれていたのだろう)。

 同じくSpiegel誌の記事を引用したNHKニュースによれば、NSAはドイツ国内で毎月5億件に上る通話記録など個人情報(発信・受信者、発信場所などの情報)を入手していたという。

俄かには信じがたい数字も

 上記Guardianの記事によれば、NSAはドイツ人が1日にかける電話のうち平均2000万本、多い日には6000万本の電話を監視(monitor)し、1日に平均で1000万本のインターネット通信(internet datasets)を監視していたという。ここで「監視」とあるが、前後の文脈から判断すると、この記事を書いた記者は「盗聴(tap)」と同じ意味で使っている。

 が、それは恐らく、この記者の勘違いである。実際にオリジナルの機密文書やSpiegel記事に書かれていたことは「盗聴(通話内容の傍受)」ではなく、恐らく上記NHKニュースにも出てきた「発信・受信者や発信場所の情報」のような通話記録をNSAが収集したことであると推測される。そう考えると全体の辻褄が合うのだ。

 それにしても1日に2000万本から6000万本という件数は、どう考えても異常だ。仮に監視対象者が1日に5本~10本の電話をかける、ないしは受けるとすれば、1日に数百万人から数千万人が通話記録を収集されたことになる。

 これだけ膨大なデータをどうやって収集するというのか? ひょっとしたらNSAが開発したコンピュータ・システムなどで自動的に情報収集したのか? そんなことが可能なのか? そこにはドイツや米国の通信会社が関与しているのか? そもそも、一体何のためにそんなことをするのか?

 謎は深まるばかりだが、いずれにせよ常軌を逸している(ドイツの人口は約8000万人だから、少な目に見積もってもドイツ国民の10人に1人位が監視されていたことになる)。

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