佐々木芽生 第1回 「NYはすべてが破綻状態で、生活するのは大変。でも、そのヒリヒリ感が堪らないんです」

撮影:立木義浩

<店主前曰>

 海外の都市に住み孤軍奮闘頑張っている日本人は多い。そんなかなでも、ニューヨーク在住26年、ドキュメンタリー映画監督として活躍している佐々木芽生さんは出色の人物である。

 数年前、佐々木監督が作った、無名の現代アートコレクターを題材にした『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』というドキュメンタリー映画は、観る者を感動させた。そして今年公開されたのがその続編『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈り物』である。

 そのプロモーションのために一時帰国した佐々木監督が多忙のなか、サロン・ド・シマジの広尾本店に訪ねてきてくれた。

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郵便局で働きながら現代アートをコレクションした夫婦

シマジ 佐々木監督、わたしはずっとあなたにお会いしたかったのです。『ハーブ&ドロシー』の続編を観て、夫のハーブがついに老衰で亡くなられたことを知り、大ショックでした。

佐々木 有り難うございます。ハーブの死をどう扱うべきか悩みましたが、結局、ああいう形でさらっと出すだけにしたのです。

シマジ 大変よかったのではないですか。葬式や葬列をみせられたとしても、気持ちのやり場がないものです。それにしてもハーブとドロシーのヴォーゲル夫妻は、とっても仲の良い夫婦でしたね。

佐々木 日頃は13歳年下の妻ドロシーのいうことを聞いているようでしたが、いざというときの決定権は、夫のハーブが持っていましたね。