公務員制度改革を公約の大柱から格下げした自民党。麻生政権以降の5年間が官僚へのガバナンスを骨抜きにした


 来る参院選挙で優勢が伝えられる自民党であるが、その中でも真の政策通として知られる塩崎恭久さんから悲痛のメールが来た。彼のブログでも紹介されている「原子力規制庁官僚の暗躍、跋扈を許さない」だ

 原子力規制委員会の田中俊一委員長が、規制委の職員数について「今の陣容は十分ではない。倍増したい」と定例記者会見で述べた。これに対し、原子力規制委員会の事務局組織たる原子力規制庁の職員らが、田中委員長発言の火消しに回っているということだ。

 原子力規制委員会は人手が足りないため、「原子力安全基盤機構」(JNES)と統合することは、原子力規制委員会設置法に明記されている。また、国会事故調も指摘する「規制の虜」から脱却するためには最低限必要な話だ(「規制の虜」は、2012年7月9日の本コラム参照)。この意味で、田中委員長の発言は正しい。それを官僚が妨害するのだから塩崎さんは怒った。もっともな話である。

 どうしてこんなに官僚のガバナンスがうまくいかないのか。塩崎さんは十分にわかっているが、麻生政権以降の歴代政権が国家公務員改革をしてこなかったからだ。

5年間なんの改革もなかった

 まず、最近の政権における国家公務員改革の経緯をおさえておこう。

 第一次安倍内閣では、国家公務員法改正によって天下り規制、能力実績主義が盛り込まれた。筆者が関係していたから言うわけではないが、特に天下り規制は「天下り斡旋の禁止」という国家公務員改革の歴史の中でも画期的なものだった。もっとも、このため、霞ヶ関の官僚すべてを敵に回したため、第一次安倍政権は政権内で官僚との関係がギクシャクし、結果として崩壊してしまった。

 

 福田政権では、第一次安倍政権の時に検討された国家公務員制度の総合的改革が法制化され、国家公務員制度改革基本法が制定された。国会はねじれ下であったが、脱官僚を掲げる野党民主党の協力があったからだ。

 この法律は、プログラム法といって、実定法をあとで改正しないといけないが、国家公務員制度改革の全体を眺望できる法律である。そのために国家公務員制度改革推進本部が作られ、国家公務員改革が進められるはずだった。
  
 国家公務員制度改革基本法は、2008年6月13日に施行され、国家公務員制度改革推進本部は7月11日に設置されている。

 当初のスケジュールでは、内閣人事局の設置は1年以内、それ以外の法制の措置(国家戦略スタッフ、幹部職員制、キャリア制度の廃止など)は3年以内、その他の措置をあわせて5年以内で、国家公務員制度改革基本法に沿った改革は終了するはずだった(http://www.gyoukaku.go.jp/koumuin/dai1/siryo4.pdf)。


 筆者は当時、すでに公務員を退職していたが、その後の5年間の改革がどうなるのかを見届けようと思った。いまが、ちょうど5年間の最後なのだが、これまで何も改革は行われなかった。そして、国家公務員制度改革推進本部は消滅する。

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