現代ノンフィクション
2013年06月27日(木)

集中連載「橋下徹とメディア」 第1回
「囲み取材」という放談会が生んだ「従軍慰安婦」発言 【前編】

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大阪市役所外観 (筆者撮影)

取材・文/ 松本創(ジャーナリスト)

大阪市役所5階でニュースは「作られる」

 大阪市役所の5階は他のフロアに比べて照明がぐっと抑えられ、エレベーターホールから続く通路は昼間でも休庁日のようにひっそり静まり返っている。

 フロアの南側は「Office of the Mayor」と文字の入った磨りガラスの壁で仕切られ、奥へ進めば市長室、副市長室、秘書たちが控える政策企画室秘書部と二つの応接室。反対の北側には「大阪都」構想を推進する府市大都市局、市長が指示した政策やプロジェクトを担当する政策企画室企画部、広報・広聴や報道機関に対応する同室市民情報部、そして市政記者室がある。

 つまり、市幹部の執務室および市長直轄の重要政策を扱う中枢部門と、それを"監視"する報道機関が一つのフロアに同居し、市長室は南東角、市政記者室は北西角と、対角線上で相対している。照明を落としているのは、一般市民の出入りが少ないためか、あるいは威厳や重厚感の演出だろうか。単に節電が理由ではないらしいが、職員に聞いてもはっきりしたことはわからない。

 市政記者室、いわゆる記者クラブには新聞・通信社14社、テレビ・ラジオ局7社の計21社が加盟している。このうち記者を常駐させているのは12~13社。2011年暮れ、橋下徹が市長に就任すると同時に各社とも担当記者を増強し、最も手厚い全国紙だと5~7人をクラブ員として登録している。

 常時30人はこの部屋に詰めているはずだが、定例記者会見などが開かれる時以外、室内は静かだ。社ごとにパーテーションで区切られた「ボックス」と呼ばれるスペースに籠り、会話や電話も声を潜めてする。競争の激しい記者クラブほど、そういう光景になるのは全国どこでも同じだろう。

次ページ  一見閑散としたその市政記者室…
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