2013.06.27(Thu)

次なるミッションは安心して子供を産める社会を作ること。国の力は人口によって左右されるものだと思いますから。

和光堂 岩上伸

週刊現代
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 創業107年の老舗の登場だ。育児用ミルクや、ベビーフード、『シッカロール』など乳幼児向け商品を製造・販売する和光堂。1906年に東京帝国大学小児科の創設者である弘田長が、乳幼児死亡率を下げるため、育児製品の指導販売を行う和光堂薬局を開業。現在はアサヒグループの一角を担う企業だ。岩上伸社長(64歳)に聞いた。


次なるミッションは安心して子供を産める社会を作ること。 国の力は人口によって左右されるものだと思いますから。いわかみ・しん/'49年、和歌山県生まれ。'72年に京都大学農学部を卒業し、朝日麦酒(現アサヒビール)に入社する。その後、東京工場醸造部長、中国代表部生産担当部長などをつとめる。'04年からは執行役員生産事業本部長、'07年常務取締役、'09年専務取締役を経て、'10年3月より現職

見せ場

 私の人生で、今が一番、大きな伸びしろを持っている時期だと思います。仕事を舞台で演技をすることに例えるならば、社長になった今は、仕事の大変さ、大きさ、ともに人生の「見せ場」と言える時期。いつまでも成長し続け、年齢を重ねるほどに成熟する―そんな人生を送りたいと思っています。

歯で噛まぬ

 長く続く企業は、社員が「なぜわが社が存在する必要があるのか」を問い続けている企業だと考えます。私たちの存在意義は、愚直なまでに、赤ちゃんの命を守ること。たとえば弊社のベビーフードの開発担当者は、試食の時、食品を歯で噛まずに舌でつぶします。歯が生えそろっていない赤ちゃんの立場にならなければ、最適な商品開発はできないからです。ニンジンも、食べるお子様の月齢に応じて数種類の大きさを使いわけています。最終目標を共有しているから、社員が自然と必要なことを判断し、始めてくれるのです。

次の使命

 国の力は人口によって左右されるものだと思います。私の夢、そして弊社の次なるミッションは、忙しいお母様方がより安心して子供を産むことができる社会を作ること。乳幼児向け食品であれば、栄養はもちろん、これから味を覚える赤ちゃんの食育にもなる商品を作っていきたい。そして皆様に「必要な企業である」とおっしゃっていただければ、弊社は今後も伸びていくと考えます。

孫5人 '11年の正月、孫と東京タワーへ行った時の写真。子供は3人、孫は現在5人。よく家族そろって行楽やドライブなどを楽しむとか

中国にて

 新卒でアサヒビールへ入社し、技術畑におりました。思い出深いのは17年前、中国進出の第一陣として現地の合弁企業へ出向した時のことです。

 一日に一度は「そんなことがありえるの?」と唖然とすることが起こる。もちろん現在はそんなことはありませんが、たとえば現地では衛生概念が成熟しておらず、製品を加工する場所の近くでみんなが平然と休憩しているのです。もし製品に何かが入ったら大変ですよ。しかも禁止しようとすると衛生担当者に「日本とは違う」と煙たがられる。

 この状況を切り崩すきっかけは「オープンマインド」でした。個人としてはよい関係が築ける方が多いので、まずは飲み友達を増やし、その後、相手のメンツに配慮しながら徐々にお願いをしていくと、次第に企業の体質が変わっていきました。

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