【防衛 その4】 自国の事は自国で守るために、安全保障政策の司令塔を!
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 これまで、防衛に関する「行動」について提言をしてきた。普通の国として自国を守るための制度設計、厳しい財政制約の中で強靭な防衛力を保持するための防衛力の選択と集中、宇宙やサイバーなど最新分野への備えといった3つの「行動」だ。

 これまで論じてきたように、世界の安全保障環境は変化し、いかなる国家も一国のみで平和を維持することは不可能な時代となった。さらに、日本の周辺環境は、いつ暴走するか分からない北朝鮮、海洋権益の拡大を虎視眈々と狙う中国という不安定要因を抱えている。現時点において、私たちは日米同盟に依存して国の防衛を行っているが、日米同盟が日本の安全をこれまで通り担保するかどうかを過信することはできない。

 私たちは現実を直視して、自分の国を自分で守る能力の保持を目指しながら、責任ある普通の国家として、国際貢献を積極的に果たして行かなければならない。しかしながら、現実に国の安全保障の最高責任者である内閣総理大臣を的確にサポートする体制が整っているとは言えない。

 そのため、防衛に関する「行動」の最後に、安全保障の体制と日本が目指すべき安全保障上の目標について提言したい。

1. NSC(国家安全保障会議)の創設を!

 米国をはじめ多くの国では、NSCを設置している。もちろん、日本にも官邸を中心とした安全保障体制が存在する。内閣総理大臣を長として関係閣僚が参加して安全保障上の情報共有、意思決定を行う安全保障会議である。内閣危機管理監が中心となって内閣総理大臣を補佐する危機管理体制で、有事の際には官房長官を委員長とする事態対処専門委員会が置かれ、安全保障会議を補佐する体制となっている。

 しかし、米国等のNSCと大きく異なるのは、日本の安全保障体制は、専門家を常置して最高責任者を補佐するシステムになっていない点と、国家としての安全保障戦略を策定する体制にはなっていない点である。

 このために、日本においては、外交と防衛が縦割り行政の下に分断され、防衛に関する諸計画は、外交政策とは無関係に防衛省によって描かれてきてしまったのだ。本来、外交は防衛と一体であり、資源安保、食料安保、環境安保といった他の分野の安全保障とあわせた総合的な安全保障政策が必要である。

 このため、米国型のNSCを早急に設置し、官邸に総合的な安全保障・危機管理に関する一元化した司令塔を作り、そこに専門家を集結させ、内閣総理大臣を補佐する体制を作る必要がある。内閣総理大臣が、安全保障の責任者として充分な知識と情報をもって職務に当たれるようにするとともに、専門家のサポートのもとに官邸主導で縦割り行政の論理を離れた総合的な安全保障戦略を策定し、対外的にも発信すべきである。

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