町田徹「ニュースの深層」
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伝染病輸出国ニッポンの汚名は 逃げ腰の子宮頸がん対策ではそそげない

2013年06月25日(火) 町田 徹
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[Photo] Getty Images

「現在、積極的にはお勧めしていません。接種に当たっては、有効性とリスクを理解したうえで受けて下さい」---。

「ワクチン・ギャップの解消」という国策はどこに行ってしまったのだろうか。
 予防接種法を改正して今年4月から原則無料の「定期接種」対象に格上げしたばかりの子宮頸がんワクチンについて、3カ月も経たない今月半ば、厚生労働省は接種の推奨を止めるという朝令暮改の方針を打ち出した。定期接種化に伴うワクチン被害の拡大を防ぐべきだと主張してきた被害者団体の主張に怯えて、あっさり譲歩してしまったのである。

 しかし、「公衆衛生」という世界の常識に照らすと、今回のような予防接種リスクの判断を国民に丸投げする対応には首を傾げざるをえない。父母がいたずらに不安に捉われれば、接種率が急低下して社会全体の子宮頸がんに対する免疫力が失われる。将来、子宮頸がんで命を落としたり、子供を産めなくなる女性が増える危険性が高まることになるからだ。

厚労省は麻疹や風疹での失敗を繰り返そうとしている

 どうやら厚生労働省は懲りずに、予防接種を怠ったために大流行した麻疹(はしか)や風疹と同じ失敗をまた繰り返すつもりらしい。

 子宮頸がんは女性特有の癌だ。近年、20代や30代の若年患者が急増しており、「マザーキラー」という異名も付いた。年間約9000人が発症し、その3分の1近い2700人程度が死亡するとされる。治癒しても、子供を産めなくなる例が少なくない。

 原因になるのはヒトパピローマウイルス(HPV)だ。子宮頸がんの発症のメカニズムは、ピロリ菌が胃炎、胃潰瘍、胃がんなどの原因と考えられているのとよく似ている。 

 

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