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特別対談 藤原敬之×三宅一弘
マネーのプロはこう読む 日本株 これが正しい見方

〔PHOTO〕gettyimages

日経平均はいくらになるのか

藤原 株式市場の乱高下が続いていますが、おそらくいま日本で一番株価の動向を気にしている人物は、安倍晋三さんでしょう。

三宅 株価は安倍政権の生命線ですからね。そこは過去のどの政権とも大きく違う点です。

藤原 相場の行方も政権の行方も、この夏の参院選の結果が大きな影響を与えることになりますが、「マーケット的によかった」と思うのは、「日本維新の会」が完全に失速してきたことです。

 というのも、維新が失速して改憲勢力が参議院で3分の2を占めるのは難しい状況になった。結果的に安倍さんとしても「憲法改正の問題は後回しにして、これからの3年間はデフレ脱却を必死でやろう」という気持ちに切り替わっていると思います。

三宅 マーケットには「安倍さんの経済政策には賛成だけれど、いまの局面で中国や韓国との関係悪化を招くリスクのある憲法改正をしていいのか」という懸念が根強くありましたからね。

藤原 そこで肝心の相場についての話です。私は基本的に日本株の動向については強気の立場なのですが、日経平均が1万5000円を超えてきたときには、「さすがに上昇テンポが早すぎる」と思いました。

 以前から、株価のトレンドラインからすると来年のどこかのタイミングで、小泉政権時に付けた高値の1万8000円を超えていくだろうと見ていたんです。そこから逆算すると、今頃は1万2000円くらいがいい線なんです。1万1000円~1万3000円くらいの間の乱高下はあってしかるべきだと想定していたので、いまの相場は高すぎず、低すぎずのいいレンジで動いている。それに株価の乱高下もヘッジファンドの利益確定売りが一段落する7月頃までには落ち着くでしょう。

三宅 5月後半から欧州と米国の投資家を回ってきたのですが、瞬間的な売り買いを得意とする機動的なヘッジファンドはこの6ヵ月間、日本株を買い、円を売ることで果敢に儲けてきました。一方でファンダメンタルズ(経済成長率など経済の基礎的条件)重視の長期の投資家は、日本企業の実際の収益がまだよくなっていないことから、日本株高騰の動きに必ずしも乗れなかったのです。

 ところが現在の株価調整に加え、7月下旬から出てくる各企業の4~6月期の四半期決算には上方修正がかかってくるはずです。そこに安倍さんが参院選で勝ち、衆参のねじれ解消の下でアベノミクスを思い切り実行するという姿勢を明確に打ち出せれば、これまで慎重だったファンダメンタルズ重視の投資家も、一気に日本株を買いに出てくると思います。

藤原 そもそも安倍さんが首相になってから始まった株価上昇を「アベバブル」と評する人もいますが、こんなもの、本当のバブルを経験した我々からすればバブルの「バ」の字もまだ始まっていない段階です。

三宅 '80年代末のバブルは、円高、金利低下、原油安のトリプルメリットがベースになっていました。現在は株価こそ多少上昇しましたが、実体経済はまだ変化を実感できる段階にはなっていませんからね。

藤原 アベノミクスの正体とは、まずはとにかく市場におカネをどんどん流す政策を、日銀に呑ませるということです。安倍さんは前回の退陣からの5年間、リフレ論者とそういう話を詰めてきたはずです。

 リフレ論者というのは、まずは(1)物価を上げる、それによって(2)企業収益を増大させて雇用の拡大につなげ賃金を上昇させ、(3)国民所得(名目GDP)を上げていく、という三段論法で日本経済復活のシナリオを書いています。実は日本は1929年に始まった世界大恐慌から一番早く抜け出した国ですが、そのときに蔵相・高橋是清がやった金融政策も、とにかく物価や株価を上げて、それを経済の上昇に結びつけていくという政策だった。

三宅 そう。同じことをやろうとしている。

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