鳩山さん、それでも総理ですか 
参院選は民主大敗へ田中秀征×田崎史郎
 重大案件を安請け合いする。軽々しく「覚悟」を語る。そのくせ約束が守れなくても反省はしない。というより、間違ったことをしたとさえ思わない。どうしてこんな人が、一国のトップになってしまったのだろう。元経企庁長官の田中氏と時事通信解説委員長・田﨑氏が政治の深層を読む。 

まるであの頃の自民党 

田崎 政権発足(昨年9月16日)から半年が経ちました。予算案が衆院を通過して、本来なら政権も一息つくところですが、支持率は下げ止まらず、沖縄の米軍普天間基地移設問題は政権の命取りになりかねない事態になってきました。 

田中 この先、いい材料は見当たりませんね。参院選が近づくにつれて、むしろ世論はいっそう厳しくなると思いますよ。低落傾向に拍車がかかるんじゃないでしょうか。 

田崎 去年の夏、自民党を懲らしめてやろうという国民の雰囲気が、民主党に300議席以上もの圧倒的勝利をもたらしたわけですよね。それが今や、民主党を懲らしめてやろうという方向にがらりと変わった。 

田中 その原因は、いわゆる政治とカネの問題だと思いますか。 

田崎 鳩山首相はそう言っていますね。もちろん、それもあるでしょう。
  でも、小沢幹事長主導で行われている露骨な利益誘導型の政治、あるいは何事も決めない・決められない鳩山首相の指導力の欠如、さらには小沢幹事長に対してモノを言えない民主党議員のだらしなさ・ひ弱さが、複合した結果だと思います。
  小沢さんの問題に対処する過程でこの三つの要因が噴き出してきて、去年の総選挙で民主党に投票した人たちは期待を裏切られたと感じている。それで、一度懲らしめたほうがいいぞ、と。 

田中 まったく同じ認識だね。仮に小沢さんが幹事長を辞任しても、拍手はすぐに鳴り止んで、その後の支持率はもっと激しく落ち込むと思う。なぜか。第一にカネの問題は政権ツートップの問題だというのが国民の理解だから、批判の矢は次に鳩山さん自身に集中する。
  第二に、小沢辞任と同時に、親小沢グループと非小沢勢力の間で熾烈な党内抗争が始まる。そしてもう一つ、不人気な案件を決断する人がいなくなる。つまり、重要案件が決断できない政権になるんですよ。 

田崎 予算がいい例ですが、良くも悪くも、最終的に小沢さんが悪役を引き受けていましたからね。 

田中 そうなるともう政権運営はできませんよ。今でさえ学芸会レベルと言う人もいる。小沢さんが辞めることによって、もっと基本的な指導者の資質とか志の問題、さらには民主党そのものの構造と体質の問題、要するに本質が浮かび上がる。だから深刻なんだよ。 

田崎 去年の西松事件では、5月11日に小沢さんが代表を辞めたことで民主党の支持率が回復し、総選挙圧勝につながった。でも今回、二匹目のドジョウはいないでしょうね。民主党の頼りなさがますます明らかになることで、逆に政権運営の重さ、覚悟の重大さが浮き彫りになり、国民はそれに気づくと思う。
  だいたい、鳩山さんは「覚悟」という重みのある言葉を頻繁に使いますが、本当の「覚悟」とはほど遠いことが見透かされています。 

田中 そこが大問題なんです。「覚悟」とか「命」を軽々しく口にし過ぎる。しかも、そう思われていることに気づいているから、真剣さをアピールしたくて、よけいに大げさな言葉を使う。それがさらに不信感を深めるという悪循環になっている。 

田崎 長崎県知事選と町田市長選で民主党は敗れましたが、知事選の出口調査を見ると、民主党支持層の7割しか取れていない。一方、無党派層の票は自民・公明が支援した候補により多く流れている。
  つまり、自分の支持層を固められず、無党派層が離れたというのは、昨年総選挙時の自民党と同じなんです。 

田中 最近の世論調査では、参院選で民主党が単独過半数をとらないほうがいいという人が6割近くに達していた。これは、自民党の支持が回復したのではなく、自民党に入れざるを得ないくらい、国民は絶望しているということですよ。期待が失望に変わり、さらに絶望へと転じつつある。 

田崎 すでに相当な部分が絶望になっているような気がしますね。 

田中 そう。そして問題の本質は、鳩山さんの政治手法にあると思う。そのときどきで、条件反射的に格好いい台詞を吐くんだけど、実はそれが上辺だけの言葉だということに、国民は生理的な反発を感じている。 

田崎 ところが本人は、反発を受けているという自覚はない。だから覚悟が長続きしない(笑)。 

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