中国
サミット恒例の「日米同盟ショー」を取り消された安倍首相の苦痛
〔PHOTO〕gettyimages

 「劇場国家」と呼ばれる日本は、先週の英国サミットのことなど忘れたかのように、昨日行われた東京都議会選挙の結果と、橋下徹・維新の会共同代表の進退問題の話題で盛り上がっている。

 だが、ここで敢えて今一度、英国サミットの話を蒸し返してみたい。

 英国サミットでは、安倍晋三首相が、アベノミクスについて説明したのと、シリア問題を巡って「欧米 vs ロシア」の舌戦が繰り広げられたことが、日本での話題だった。だがもう一つ、本質的な「隠れた話題」があった。それは、サミットで通例となっている日米首脳会談が、"開かれなかった"ことである。

アメリカに「拒絶」された日米首脳会談

 日本にとって、アメリカと話し合うべき問題は、山積していた。それは、以下のようなものだ。

①前週に2日間にわたって開かれた米中首脳会談についての、詳細な報告。特に、尖閣諸島を巡るオバマ大統領と習近平主席の「1時間の攻防」で、何が話し合われ、どのような結論になったのか。

②北朝鮮のこのところの「軟化」に対する意見交換。特に、経済制裁の緩和に関する「さじ加減」や、オバマ政権が金正恩体制をどのような方向に導いていこうとしているのかについてのビビッドな説明。つまりオバマ政権は、米朝2ヵ国協議→米朝国交正常化の流れに持っていこうとしているのか、それとも、6ヵ国協議復活→あくまでも米中で足並みを揃えての北朝鮮対策という流れに持っていこうとしているのかについての確認。

③アベノミクスに対するアメリカの評価と今後。特に、参院選後にも日本が続けて「円安誘導政策」を取り続けることをアメリカが容認するのか。オバマ大統領は、アメリカの今後の景気見通しをどう思っているのか。

④2月の日米首脳会談から4ヵ月が経った現時点での、TPPと、保険・自動車などに関する市場開放問題の最新状況の意見交換。特に、先の米中首脳会談で中国側がTPP交渉の資料の提供をアメリカ側に求めたことの意味や、日本が懸念を示す農業分野での進捗状況の確認。

⑤6月11日に、自民党国防部会・安全保障調査会が「防衛計画の大綱」見直しの提言を、安倍首相に手渡し、国内での作業は整った。そこで、オバマ政権は防衛大綱の見直しをどう考えているのかの確認。というより、これは「アメリカの意思」によって決まるところが大きいので、オバマ政権の意向の確認。

 これらは、さっと思いついて書き綴ってみたまでで、現実には話し合うべき事項はもっとたくさんあるはずだ。それを、菅官房長官が会見で述べていたように、「事前に電話で、30分くらい話したので必要ない」「日米同盟は懸案事項もなく良好ということだ」などと片づけてしまうのはおかしいだろう。

 私が外務省関係者に確認したところ、明らかに日本側は日米首脳会談を「切望」していたにもかかわらず、また相当強くプレッシャーをかけたにもかかわらず、アメリカ側に「拒絶」されてしまったようなのだ。

 こんなことで、果たして日本はアメリカと同盟関係にあると言えるのだろうか? たとえば、10年前の小泉・ブッシュ時代では想像もできなかったことだ。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら