『アベノミクス失速』は日本人の自信喪失の表われ G8各国は前向きに評価している
G8での安倍首相 [Photo]Getty Images

 安倍晋三政権が進める経済政策は正しいのか、それとも誤っているのか。日本国内では円安株高の修正もあって、早くも「アベノミクス失速」とか「変調」「乱気流」といった見方が出ている。
 だが、一歩外へ出てみると、前向きに評価する声が目立つ。

 デフレと停滞の20年間を過ごすうち、多くの日本人には「自信喪失モード」が染み付いてしまった。そろそろ元気を取り戻して、アクセルを踏んでもいいのではないか。海外の論調や識者の発言をみていると、そんな思いを強くする。
 最近の動きを拾ってみる。

 まず、英誌「エコノミスト」だ。同誌は5月18日から24日号で久々に大型の日本特集を組んで安倍政権について論評した。その中でこう書いている。

「日本を停滞から脱出させるのは大仕事だ。失われた20年を経て、名目国内総生産(GDP)は1991年当時と同じ水準にとどまっている。平均株価は最近、上昇したとはいえ、ピークの3分の1にすぎない。新しいアベは(日本を再生できる、と)あらゆる点で証明しなければならない。だが、計画が半分でも達成できれば、アベは間違いなく『偉大な首相』とカウントされるだろう」

 英誌らしい皮肉を込めつつ、安倍の政策に期待を込めている。

課題は政策の軟化と、強硬な外交姿勢と英誌

 ただ、警告も忘れない。

 それは農業や医薬品、電力分野など改革の抵抗勢力に屈して「政策が軟化してしまうのではないか」という懸念が1つ。それから外交・安全保障分野で強硬な姿勢をとるあまり「国の誇りを破壊的で後向きなナショナリズムと混同してしまう」危険である、という。

 後者については、気鋭の政治学者として名高いイアン・ブレマー(米ユーラシア・グループ代表)が毎日新聞(6月16日付)に寄稿した論文でも、こう指摘している。

「日本の強さというものは経済力や改革する力、企業、労働者、消費者の力によってもたらされるのだ。軍事的な能力や外国に対する挑発的な姿勢を強めることによってではない」

「アベノミクスが進むにつれ、米国を含めた第3国は懸念している。(中略)愛国心をあおることで、政治的な力を高めようとする誘惑に屈しないだろうか、と」

 アベノミクスが快調に進んで景気が良くなってくると、外交分野でも高飛車になってくるのではないか。それは間違い、というのだ。

 この点は私も同感である。それでなくても、自民党内には韓国や中国を念頭に、歴史認識や従軍慰安婦問題をめぐって不必要に強硬発言をしたがる人々がいる。安倍官邸がどうコントロールするかは国内だけでなく、なにより国外での評判を左右するだろう。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら