サッカー
二宮寿朗「ネイマール、スターを超える存在へ」

 筆者は今、サッカー王国ブラジルにいる。ワールドカップを1年後に控えて開催されているコンフェデレーションズカップの取材のためだ。

スターとしての自覚

 ホスト国ブラジル代表と日本代表が対戦したオープニングマッチ。会場となる首都ブラジリアを訪れると、ある「スター」の存在に自然に気づかされた。
 町を歩けばビルに巨大ポスター広告。チャーミングな笑みを浮かべているのは、セレソン(ブラジル代表)の新しい10番、21歳のネイマールだ。周りを見渡すと、ネイマールのかわいいイラストが入っているノートを手にする女の子もいた。広告、グッズ、テレビ……。ブラジルにはネイマールが溢れていた。

 サントスFCから5700万ユーロ(約75億円)という莫大な移籍金でFCバルセロナへの移籍が決まったばかり。ブラジル国内のみならず世界中がこの若武者に注目を寄せているのだが、国内のネイマール人気には「ここまで凄いのか」と驚かされた。

 改修工事を終えて5月に竣工した7万人収容のナショナルスタジアムにはセレソンのサポーターが多く詰めかけ、大型ビジョンにネイマールの姿が映し出されるだけで大きな歓声が沸き起こる。フッキ、オスカル、マルセロ、ダニエウ・アウベス、チアゴ・シウバなどなど……タレント集団のなかでも、声援の大きさは彼らの比ではなかった。

 そんななかで試合は始まり、開始3分でそのネイマールがカナリア軍団に先制点をもたらすのだから“持っている男”は違う。それも強烈なインパクトを残すゴールシーンだった。マルセロのクロスをフレッジが落とし、そのボールをボレーで叩き込んだのだ。簡単なシュートではない。ふかすことなく、抑えをきかせながら打ち込んだ。

 それまで代表戦は9試合連続でノーゴールだったというが、ホーム開催のコンフェデのオープニングマッチで魅せてしまうあたりがやはりスターの器。ゴールを決めた後のダンスも絵になる。両手を上下させてスタンドをあおると、熱狂する会場がまた一段と沸騰した。

 試合後のミックスゾーン(取材エリア)でもネイマールにはブラジルメディアが殺到していた。広報とおぼしき人が彼の真横について、何カ所かに分かれている取材ポイントで時間を決めて対応していた。メディアの質問に対して一つひとつ真摯に答えていたのも印象的だった。帽子のつばを後ろにしてかぶったり、どこかやんちゃそうな一面をかもしだしながらも、スターとしての自覚を感じることができた。