2013.06.20(Thu)

企業は、成功体験で傾く。危機感は、どれだけ持っても「持ちすぎ」にはならないと思います。

イトーキ 松井 正

週刊現代
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やれる

 私がイトーキへ就職したのは、かねて希望していた営業の仕事ができる企業の中で、一番最初に内定をくれたからです。私は現状肯定型の人間で「どこでもやれる」「苦労があれば、それは神様が与えた試練」と思っています。だから、いい意味で、営業ができれば「どこでもよかった」のです。

 逆に、ネガティブな考えは、自分の可能性を閉ざすと思います。たとえば商社に就職したくて入社しても「キミ東南アジアへ行ってくれ」と言われただけで会社を辞めた人がいますが、そんな未知の体験の中に人生における大事なことがひそんでいるはず。これは、もったいない。

苦労の質

 仕事は、嫌な事からすませる癖がついています。20代後半だったでしょうか。クレームになりかねない事案があり、お詫びに行くべきなのですが、本心では行きたくない(苦笑)。そこで別の用事を探してはそちらを優先し、気になりながらも、お詫びに行くのを翌日に、翌々日にと延ばしたんです。そして1週間後、さすがに腹をくくってお客様の元を訪ねてみると、事態は自分が思ったほど悪くなく、あっけなく済んでしまったのです。その時、「取り越し苦労のほうがつらい」とはっきり体得したんですよ。

獅子は出ぬ

 リーダーの条件は、理念を浸透させること、さらには「逃げないこと」。難題に直面しても、命までとられることはない。山より大きな獅子は出ない、と誰よりも強い覚悟を決めて、向き合うことです。仮に戦争の時、大将が弱気になって背を向けたら、兵士はみんな逃げてしまいますからね。

励ます '84~'95年まで阪神タイガースで活躍した仲田投手を励ます会に出席した時の松井氏(写真一番右)

荒れ放題

 経営者として、エコに関心があります。現在、木材は輸入品のほうが安価なのですが、だからこそ、日本の森は人の手が入らず荒れ放題で環境にはよくない。川の水質が悪くなり、一説によると海産物の減少にまでつながっているそうです。

 そこで、本来は実用化が難しく、すぐ反りなどの変形が出てしまうスギやヒノキを最新のテクノロジーで家具へと加工し、価格を抑えて、国産の木材を地産地消しています。事業は、極力、社会性を持っているほうがいい。さらに言えば、木材は「炭素の缶詰」。燃やせばCO2になりますが、使えば家具の内に閉じ込めますから、家具の生産はすなわち、CO2の削減とも言えます。

研究成果

 オフィスのレイアウトで、生産性は変わります。机を向かい合わせに並べた「島型対向」オフィスの生産性が高いとは限りません。仮に机をS字型に並べると、視界に多くの人が入るため、自然と会話が生まれやすくなります。色合いなどを変えることで、女性のモチベーションが高くなる、という説もあって研究が進んでいます。

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