安倍首相が本気で長期政権を目指すなら、支持基盤を中道左派にも拡大するべきである!
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 このところ、株価が乱高下し、国民の間に、アベノミクスの先行きに対する不安感が広がっている。それが原因なのか、直近の時事通信の世論調査(7~10日に実施)では、内閣支持率は60%を切って、57.4%(前月比2.8ポイント減)と2ヵ月連続で減少している。不支持率の方は、前月比2.4ポイント増の、20.0%だった。

 街角の声を聴いても、景気回復の実感がないという意見が多い。それどころか、むしろ悪化しているという声すらある。円安による輸入物資の値上げなどが響いているからであろう。

 このような傾向を懸念してか、安倍内閣は外交の分野で挽回しようとしているが、習近平氏が率いる中国の存在感が増すばかりで、目立った成果はあげていない。飯島内閣参与が訪朝したものの、北朝鮮の核開発疑惑、拉致問題などに解決の兆しは見えていない。中国や韓国との間で、尖閣諸島や竹島、そして歴史認識をめぐって、緊張状態がなお続いている。

政治とは、可能性の技術である!

 そうした中、東京都議会の選挙戦が始まった。参議院選挙のいわば前哨戦として、大きな意味を持つ選挙であるが、野党の分裂などもあり、自民党が躍進するとみられている。しかし、投票率が低くなるのではないかと懸念されている。

 安倍首相としては、都議会選、参議院選と連続勝利して、衆参のねじれを解消し、長期政権への道を確保したいようであるが、そのためには、反対派の意見にも耳をかたむけながら、国民的合意を形成する努力が不可欠である。

 第一に、右寄りのナショナリズム路線を抑制する必要がある。たとえば、自民党の第二次憲法草案について、国民の過半数の支持を得ることは極めて難しいであろう。憲法改正の本丸は9条であり、基本的人権の分野で、人類の普遍的価値の集積にまで、あえて挑発的な改正を施す必要があるのか。

 皮肉に言えば、これは憲法改正を遅らせるための小細工なのであろうか。私が関わった第一次草案では、左から右まで、より広汎な層の支持を得ることができるよう、多くの工夫を施したものである。自分の主張が100%通らないならば、前に進まないというのでは、政治家の仕事ではない。政治とは、まさに可能性の技術なのである。

 歴史認識にしても、歴史資料の分析を行ったことのある者には分かることだが、データを実証的に積み上げただけでは、歴史の記述にはならない。断片的なデータから、歴史を再構築するのは、歴史家の腕であり、そこには歴史家の解釈が入り込んでくる。

 政治家がどのような歴史家の解釈を採用するにせよ、その発言が招く政治的結果については、責任を持たなければならない。橋下大阪市長の、いわゆる従軍慰安婦がらみの発言が、その好例である。橋下氏と安易に会談することは避けるべきだという判断が、どうして首相官邸サイドでできなかったのか。国際的なイメージ悪化は不可避である。

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