プーチンの離婚、スルコフの辞任、プリホチコ就任。緊迫するメドベージェフとプーチンの政権闘争。この人事、闘争は橋下氏の「慰安婦発言問題」に対し、ロシアが北方領土問題に関して対日強硬論を語ったこととリンクしている

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」vol015 「くにまるジャパン」発言録より
【佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.015 目次】

―第1部― インテリジェンスレポート
 ■分析メモ No.34「プーチン露大統領の離婚」
 ■分析メモ No.35「プリホチコ露官房長官の就任」
―第2部― 読書ノート
 ■読書ノート No.41『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』
 ■読書ノート No.42『脳力のレッスン 特別篇 アベノミクスの本質と日本のイスラエル化』
 ■読書ノート No.43『オリバーストーンが語るもう一つのアメリカ史3 帝国の緩やかな黄昏』
―第3部― 質疑応答
―第4部― 文化放送「くにまるジャパン」発言録
―第5部― 佐藤さんの今後の予定(7月下旬まで)

邦丸: 「プーチン・ロシア大統領離婚」というニュース。これからお届けする話題にどう影響するのかわかりませんが。

佐藤: 関係しています!

邦丸: 関係していますということで、まずは『週刊現代』(6月22日号)に佐藤優さんが寄稿されたものをご紹介しましょう。

伊藤: タイトルは「佐藤優の人間観察──プリホチコ・ロシア政府官房長官」です。
5月22日、ロシアのプーチン大統領は、セルゲイ・プリホチコを副首相兼政府官房長官に任命しました。佐藤さんは、この人事が今後の北方領土交渉に悪影響を与えることを強く懸念されています。

プリホチコのプロフィールです。プリホチコは1980年にモスクワ国際関係大学を卒業した後、当時のチェコスロバキアのソ連大使館に勤務。1986年からソ連外務省の欧州社会主義諸国部に勤務しまして、ソ連崩壊後はチェコを中心とする中東やヨーロッパを担当する地域専門家としてロシア外務省で勤務。1997年に突然、エリツィン大統領の外交担当補佐官に登用されます。それ以降、ロシアの権力闘争のなかで生き残り、現在も要職に就いている唯一の人物です。

さらに、情報操作のプロであり、記者にオフレコで日ロ間の不信を煽るのが得意技。日本よりも中国との戦略的提携を強化することがロシアの国益につながると考えている、とされています。また、2010年、メドベージェフ大統領(当時)が国後島への上陸を行いましたが、このシナリオを描いたのが外交担当大統領補佐官だったプリホチコだと、佐藤さんは見ています。

さらにプリホチコは元外務官僚なので外務省の内情に詳しく、人事介入も行うため、ロシアの外務省チームの対日姿勢が硬化することを佐藤さんは懸念されています。

邦丸: セルゲイ・プリホチコという、この政界遊泳術にたけている人間をプーチンさんは副首相兼政府官房長官に任命したということですね。

佐藤: ロシアの場合は、政府の人事は基本的にはメドベージェフ首相がやるんです。ですからこれは、メドベージェフ首相が指名したんです。

邦丸: これはプーチンさんが直接指名したんじゃないんですか。

佐藤: ええ。それで、もし、メドベージェフが指名したのを任命しないということになれば、プーチン対メドベージェフ戦争になっちゃいますね。

邦丸: ああ、なるほど。

佐藤: それが、指名したメドベージェフとプーチンの力関係なんですよ。今、プーチンはこのプリホチコを嫌いなんですよ。

邦丸: プーチンさんは好きじゃないんですか。

佐藤: 好きじゃない。しかし、メドベージェフがこれを指名している以上、拒否できないという、こういう二人のゲームをやっているわけですね。

邦丸: 難しいバランスなんですね。