【防衛 その2】
防衛力の選択と集中を! 核兵器保有の選択について議論を!

〔PHOTO〕gettyimages

 平成25年度予算において、防衛関係費は対前年度比400億円(0.8%)増の4兆7,538億円と、実に11年ぶりの増額となった。これは尖閣諸島周辺で活動を活発化させている中国に対応するためであり、当然の増額である。

 いわゆる防衛費GNP1%枠の政策が1986年の中曽根内閣の時に撤廃された後も、事実上、日本の防衛予算はGDP比で1%程度以下に抑えられてきた。一方で、同じく平成25年度予算における社会保障関係費は29兆1,224億円で、一般歳出の約1/3を占める。防衛費の6倍ものお金が、社会保障関係費に使われているのだ。

 中国や北朝鮮が容赦なく日本の国益を侵害しようとしている現実の中で、国の防衛に回す予算は事実上のGDPキャップがはめられて抑制される一方で、社会保障については上限が設けられず国家予算の1/3が充てられている。いくら国民が年金や介護を受けることができても、ひとたび有事となれば国民生活は破壊されてしまうのだ。

 日本周辺の情勢が厳しさを増す中で、日本自身の防衛態勢は決して万全であるとは言えない。隊員の高齢化もあいまって防衛予算のうち約45%が人件費で占められ、部隊の維持管理費、防衛装備品(兵器)の維持整備と更新で防衛予算はほぼ使い切られてしまい、世界の最新技術を取り入れた最新装備品の調達が遅れているのが現状である。

 防衛予算を青天井に増やす事が出来れば問題は解決だが、非常に厳しい国家財政の状況下において、防衛予算を無制限に増やすことが出来ないのも事実だろう。しかし、限られた制約の中でも日本が自国を自分で守るために出来ることはあるはずである。

 具体的には、1)部隊配置の改革、2)防衛産業・技術の強化、3)敵基地能力を攻撃する能力を確保し、4)情報収集能力を強化し、そして5)核兵器保有についての議論を開始せよ、だ。以下にそれらの具体的な「行動」を詳述する。

1.部隊配置の聖域なき見直しを!

 尖閣諸島における昨今の挑発事案が表面化するはるか以前から、東シナ海における中国海軍の動きは活発化していた。それにもかかわらず、沖縄県の南西諸島方面の防衛力は手薄な状況のまま放置され、最も国益を犯される危険性の高い地域が、自衛隊の常駐部隊が存在しない空白地域として放置されてしまっている。

 なぜこのようなことが続いているのか。外交上の問題を除けば、これは日本が戦後取ってきた「基盤的防衛力構想」のもとに、重要度の低い部隊や装備が温存されてきたためである。すなわち、同構想は、本格的な陸上侵攻に備えて、部隊や兵器の「量」を重視して、国土に均等に部隊を配置する考え方だ。

 しかし、現在、日本が直面する防衛上のリスクは変化している。ソ連のような大国が陸上侵攻してくるようなことは現代において想定しづらい。一方で、明白な戦争ではなく、尖閣諸島の事案のような、主権や資源について平時と有事の中間領域のような紛争を防ぐ事、そして、弾道ミサイルの脅威から国土を守ること等が、今私たちが直面しているリスクなのだ。

 その点で、2010年12月の「防衛計画の大綱(2011年度以降に係る防衛計画の大綱)」において「基盤的防衛力」構想からの脱却が明確化されたことは評価できよう。

 今後は、聖域なく大胆に部隊や装備品の選択と集中を行い、旧式装備の戦車や火砲及びその部隊の大幅な削減をすすめるとともに、新たな重要分野、すなわち、南西方面における島嶼防衛、弾道ミサイル防衛、ISR(intelligence, surveillance, reconnaissance。警戒監視偵察)能力の強化といった分野に資源と部隊を大胆にシフトすべきである。

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