【Wharton Forum ダイジェスト】
時代の先端を行くビジネススクールは何に注目しているのか?

レポート:本荘修二(コンサルタント)
ウォートン・スクールのディーン(学部長)トーマス・ロバートソン氏  Photo by The Wharton School

取材・執筆: 本荘修二(コンサルタント/多摩大学客員教授)

 世界をリードする経営学大学院Wharton School(ペンシルベニア大学ウォートン・スクール)のグローバル・フォーラムが5月23~25日、東京のパレスホテルで開かれた。約700名の参加者が世界各国から集まり、ウォートンやペンシルベニア大学関係者だけでなく様々な世界のリーダーが登壇し、意見を交わした。

 米国トップクラスの経営大学院が、世界各国持ち回りで、毎年二回この内容と規模でフォーラムを開催しているのは、ウォートン・スクールしか見当たらない。では、その内容はどのようなものか。

議論し学び合い、成長とイノベーションを

 ウォートンというとファイナンスを連想する読者もいるだろうが、本フォーラムで取り上げられた分野は多彩だ。5月24・25日は、この東京開催フォーラムでのテーマ「Vitalization」(活気づける・生気を吹き込むの意)を掲げ、ワールドクラスの刺激的なキーノートやパネル・ディスカッションが行われた。これら定番セッションに加え、マスタークラス、ライフロング・ラーニングなどが開かれた。

 まず、ウォートン・スクールのディーン(学部長)トーマス・ロバートソン氏、そしてウォートン・スクール・オブ・ジャパンの小林陽太郎名誉会長、村津敬介会長が、オープニングと歓迎の言葉とともに、満場の参加者を迎えた。

ウォートン・スクール・オブ・ジャパンの小林陽太郎名誉会長   Photo by The Wharton School

 村津氏は、3.11大震災から間もなく本グローバル・フォーラムの東京開催を提案したいきさつと、「我々が自らと社会構造、国民経済に生気を吹き込まない限り、この休止状態からの回復はない」と、11年振りの日本開催にテーマ「Vitalization」を掲げた意図を語った。

 そして、ペンシルベニア大学学長エイミー・ガットマン氏は、キーノートで、多様な専門分野の知識を横断的に融合することに努めており、学生や教授陣が実務家やベンチャーキャピタルと連携し、経済と社会の前進のために知識の統合を行う「ペノベーション」(Pennovation = Penn + Innovation の造語)のセンターを開設すると語った。

 ガットマン氏を皮切りに、金融から技術革新まで次のようなメンバーによるキーノート・スピーチが二日にわたり披露された。

●三井住友銀行頭取 國部毅氏(82年MBA)
●スタンダード&プアーズ・レイティングズ・サービシズ 社長 ダグラス・ピーターソン氏(85年MBA)
●三菱商事 執行役員 廣本裕一氏(92年MBA)
●日産自動車 代表取締役COO 志賀俊之氏
●J・クレイグ・ヴェンター研究所 創設者、会長兼CEO クレイグ・ヴェンター氏

 また、3国の中央銀行総裁(経験者)を招いてのキーノート・パネルも行われた。

●マレーシア Zeti Akhtar Aziz (78年Ph.D.)
●タイ(前総裁) M.R. Pridiyathorn Devakula (70年MBA)
●韓国 Choongsoo Kim (79年Ph.D.経済学)

マーケティング・パネルにて(写真中央が筆者)  Photo by The Wharton School

 分科会のパネルは、すでにここにレポートが掲載された。

少子高齢化
3/11と危機管理
マーケティング

 加えて、以下についてのパネルが行われた。

●グローバルサプライチェーン
●戦略
●金融危機

 いずれも変化をどう受け止め、どう対峙するかについて議論された。グローバルサプライチェーンのセッションでは、日本視察を含むグローバル・モジュラー・コースと呼ばれるプログラム参加の在校生も出席し、セッション終了後も登壇者が残って質疑応答を続け、熱心な議論が交わされた。

 看板教授による実際の授業さながらのマスタークラスは、科学的な戦略、製品のサービス化、創造的な組織、金融危機下での退職システム再建、ファミリービジネスの経営、をテーマに開講され、パネルより少人数で濃厚な"授業"が行われた。

 ウォートンはライフロング・ラーニングに注力しており、女性の卒業生。CEO、将来のリーダーの三つを対象にした早朝セッションが開かれた。また、マスタークラス枠で、ALMACREATIONS代表取締役・神田昌典氏による革新的なコミュニティのワークショップが行われた。

 5月23日は、ジャーナリスト向けセミナー「Seminar for Business Journalists」を開催し、28名の記者が出席した。ちなみに、ある参加者は、「米国では何年も続いているもので、この出席者として選ばれるのは記者として名誉なことだと知られている」と言う。こうした試みは日本では珍しいが、参加者の評価も高いものとなった。

三井住友銀行頭取 國部毅氏  Photo by The Wharton School
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