アベノミクスで「持続可能な成長」は生まれない
神谷秀樹「人間復興とイノベーションだけが日本経済を再生させる」

強欲資本主義の過ちが、また繰り返されようとしている

神谷秀樹氏

 私はこのたび『人間復興なくして経済復興なし!』という単行本を刊行した。第1冊目の著作となる『ニューヨーク流「たった5人の大きな会社」』を出したのが2001年1月。それから12年の年月が経過した。

 『ニューヨーク流「たった5人の大きな会社」』で描いたのは、私が創業した「ロバーツ・ミタニ・LLC」というウォール街の「モスキート投資銀行」(それまでに勤めたゴールドマン・サックスがエレファント=象ならば、一匹のモスキート=蚊のように小さいという意味)の「仕事の仕方、考え方」だった。それはまた、アメリカ人の持つ起業家精神の逞しさ、イノベーションに燃える姿を描くものだった。

 私は同書で、日本の若者に対し、「宇宙船」に乗ったように世界をグルグル回り、素晴らしい仲間を探し、自分の夢を実現する場所を見つけて着陸し、新たな事業を始めてみてはどうかと奨めた。アメリカの資本主義については、極めて好意的に捉えていた。

『人間復興なくして経済復興なし!』
著者=神谷秀樹
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 2冊目は2008年6月に刊行した『さらば、強欲資本主義』である。ちょうどリーマン・ショック直前の時期だったが、私は同書で、強欲に牽引される経済(過度な金融資本主義、強欲資本主義)は決して永続するものではなく、もう限界に来ており、そのような経済の行き着く先は「大恐慌」しかない、と記した。そして、8月にはその通りの事態、すなわち「リーマン・ショック」が起こった。

 その後、私は『強欲資本主義 ウォール街の自爆』『ゴールドマン・サックス研究 世界経済崩壊の真相』など新書4冊を出したが、いずれも強欲資本主義の実態や、それがもたらした結果(たとえばゴーストタウンと化したデトロイト)などを紹介し、現代資本主義が決して世の大半の人々に恩恵をもたらすものではなく、一部の人々に大部分の人が搾取され、貧富の差が拡大する構造的欠陥を有している問題題を指摘した。

 私はこれらの書により、強欲資本主義を激しく糾弾したが、それでは強欲資本主義は崩壊し、消滅したのだろうか? 残念ながら、答えは「否」。