ネット書店で次々1位、男を箍(タガ)にハメて吸い尽くすタガメ女とは何か?

2013年06月12日(水)
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 結婚は幸せのかたち、子どもたちの笑顔がパパのやすらぎ――そんなふうに訴えかける世の風潮をよそに、その家族の中で起こる、夫婦・親子間の殺人、DV,育児放棄など、悲劇は後を絶たない。それこそが、タガメ女とカエル男という「標準化された幸福像」の歪みだと、深尾氏は指摘する。

「当たり前の話ですが、男女の恋愛のあり方、親子のかたちというのは、人ぞれぞれで変わるはずです。それを無理に箍にハメようとすれば、必ず反発が起こります。家庭内で起きる悲劇的事件は、そうした暴発の結果なのです」

疲れきり、げんなりしつつ「幸せだなあ」と繰り返す

 本書は発売前からツイッターなどで話題騒然となり、ネット書店で新書部門1位を獲得するなど反響も大きいのだが、その一方で、本書のテーマに予想外なまでの拒否反応を示す人も多いという。

「タイトルと表紙だけのイメージで激しいお叱りを頂戴することや、『箍に縛られた生き方こそが日本人の美徳ではないか』という声もあるように伝え聞きます。

 私が提唱しているのは自分の魂と向きあって正直に、己のあるがままに生きるということ。それこそが人間の幸せのかたちであり、私はそれを『魂の脱植民地化』と名づけました。人間はともすれば、自分自身の本来のあり方に『蓋(フタ)』をして、蓋のうえの人格を自らの本来のあり方だと錯覚してしまう。しかしそのようにして抑えこまれた魂は、自分自身にも他者にも様々な加害的な作用をする。そうした『囚われ』に自分自身が少しでも気づいて、取り除いてゆかなければ、結局誰のために生きているのかわからない人生を送ってしまうことになる。本書のタイトルは挑戦的ですが『タガメ女の正体』というのは実は『箍にとらわれ、箍をはめる生き方をする人』ということであり、それは男女いずれの場合にも起こりうることです。そうした共犯関係にある夫婦が子育てをすると、子供たちは無意識のうちに箍をはめられ、箍の再生産が行われる、そうした連鎖がまずいということを指摘したいと思っています。

 旅行会社などが展開する、『パパ、今度の休みには旅行に連れていってね。子どもたちの笑顔があなたの癒しでしょ』という類の広告を見てゲンナリする人や、ここに行けば必ず幸せになるはずという価値観を押し付けられる『ディズニーランド』や『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン』などになけなしの休日に出かけていって、疲労困憊になりながら『楽しかったね』と自分に言い聞かせるようにつぶやいているお父さん方には、自分の魂が暴発する前に、ぜひ、本当にカエル男的生き方を望んでいるのかどうか、自分自身と向き合って考えてみてほしいのです。

 無論、タガメ女も同じことです。さして必要と思えない買い物を、周囲への見栄からやめられない人や、子どものお受験が、はたして子どもにとって本当に幸せなのかどうかわからないまま、周りのママ友たちと違う価値観を自分が持つことにひけめを感じる女性たちは、『自分は自分、人は人』という事実に、向き合ってみてください。

 タガメ女やカエル男となってしまっている方たちが、そうやって『魂の脱植民地化』を果たすことで、現代社会のなんともいえない息苦しさが解消されていけば、なによりだと思います」

 

日本の男を喰い尽くすタガメ女の正体
著者:深尾 葉子(講談社+α新書、税込み880円)

タガメとは田んぼに生息してカエルの生き血を吸う昆虫。高度成長期以後、日本の各地から田園風景が消える中、タガメの魂は女性たちに宿り、無抵抗な「カエル男」を箍(タガ)にハメて搾取している。すなわち「タガメ女」は「箍女」でもある。気鋭の研究者が、自らの研究過程やゼミ生からの証言をもとに、「専業主婦」「家事手伝い」という姿で女性が現代日本を支配する特異な現象を、ユーモアを交えて実証する

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