内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力 スーザン・ケイン(著),古草 秀子(翻訳)〜はじめに――内向型と外向型 対照的な二つの性格について より抜粋

2013年06月25日(火)
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 では、現代の研究者たちはどんなことを言っているだろうか。調べるとすぐに、外向型・内向型に関する万能の定義はないとわかった。誰もが納得する普遍的な説明は存在しないのだ。たとえば、性格心理学の特性五因子論(人間の性格は煎じつめれば五つの主要な特性の組み合わせであるとする)を信奉する者たちは、内向型を内面生活の豊かさとはとらえず、積極性や社交性が欠けているとみなす。内向型と外向型の定義は、まるで性格心理学者の数ほど存在するかのようで、そのうちのどれが正しいかは侃々諤々の議論だ。ユングの考えは時代遅れだとする者もいれば、彼だけが唯一正しいとする者もいる。

 とはいえ、最近ではいくつかの重要な点で合意に達しているようだ。そのひとつは、内向型と外向型とでは、うまく機能するために必要な外部からの刺激のレベルが異なるという点だ。たとえば、内向型は親しい友人とワインをほどほどに飲むとか、クロスワードパズルを解く、読書するといった低刺激が「ちょうどいい」と感じる。外向型は初対面の人に会うとか、急斜面でスキーをする、ボリュームを上げて音楽を聴くといった高刺激を楽しむ。性格心理学者のデヴィッド・ウィンターは、典型的な内向型の女性が休暇をクルーズ船でのパーティではなく海辺で読書をして過ごすという例をあげて、その理由について説明してくれた。「クルーズ船のパーティでは人々は興奮しています。脅威、恐れ、愛といったさまざまな感情を増幅させている。一〇〇冊の本や一〇〇粒の砂にくらべると、一〇〇人の人間はとても刺激レベルが高いのです」

『内向型人間の時代〜社会を変える静かな人の力』
著者:スーザン・ケイン
翻訳:古草 秀子

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 内向型と外向型は行動の点でも違うと、多くの心理学者が考えている。外向型はすばやく行動する。すばやく、時には性急に決定をくだし、一度に複数のことをこなしたり、リスクをとったりすることも平気だ。金銭や地位などの報酬を「求めるスリル」が楽しいのだ。

 一方、内向型はゆっくりと慎重に行動することが多い。一度にひとつの作業に集中するのを好み、すばらしい集中力を発揮できる。富や名声などの誘惑に惹かれることは比較的少ない。

 私たちの性格はまた、人づきあいのスタイルをも左右する。外向型はディナーパーティに活気をもたらし、あなたのさほどおもしろくもないジョークに大声で笑ってくれる。積極的で、主導的で、仲間を強く求める。考えをそのまま口に出し、即座に実行する。聴くよりもしゃべるほうを好み、言葉に詰まることはめったになく、思ってもいないことを衝動的に口にしてしまうことがある。他人と衝突するのはいとわないが、孤独は大嫌いだ。

 対照的に、内向型は社交スキルが豊かでパーティや仕事のつきあいを楽しむ人もいるにはいるが、しばらくすると、家でパジャマ姿になりたいと感じる。かぎられた親しい友人や、同僚や、家族との関係に全エネルギーをそそぎたいと思っている。しゃべるよりも聴くほうを好み、ゆっくり考えてからしゃべり、会話よりも書くほうが自分をうまく表現できると感じることが多い。衝突を嫌う傾向がある。無駄話にはぞっとするが、深い対話を楽しむ。

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