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感動ドキュメンタリー 生命は不思議なり治らないものも治ることがある 医者は見捨てた—しかし神は見捨てなかったかくて奇跡は起きた!
週刊現代 プロフィール

「平岩先生の治療を受けたいという一心からです。先生は私がわかる言葉を選びながら、何でも答えてくれる。不安も取り除いてくれます。がんには追い込まれるイメージがありました。でも今は、広がっていくような気がします。身体は不自由になっても、失った分、得るものがある。話もできる。目も見える。ご飯がおいしいとうれしい。太陽が気持ちよいとか、風が心地よいとか、病気になる前まで見過ごしていた日常が、今は大きな喜びなのです」

 一日、また一日と、上井さんは「奇跡の記録」を更新し続けている。

神様に選ばれる条件

「どんな状況になっても、明日を人生で最良の日にすることは可能なんです。そうすれば、その翌日はさらに良い日にできる。そして、そうやって大きな病に立ち向かっている姿が、他の人を救うことがたくさんあるのです」(平岩医師)

 もう一人、がんとの闘いを続けている人物がいる。ドラマ『スケバン刑事』『宮本武蔵』などで活躍した俳優の中康次さんだ。公表はしていなかったが、中さんは昨年2月に直腸がんが見つかった。ステージは末期のⅣ。肝臓転移もあり、6~7cm大の腫瘍が4~5個あった。医者からは「あと6~8ヵ月」と宣告された。

「開腹手術はできない。いつ死んでもおかしくない状態でした。ただ、直腸が詰まって便が出ないので、腸閉塞対策のために人工肛門の手術だけはしてもらいました。あとは抗がん剤治療です。がんの宣告を受けても、まったく落ち込みませんでしたね。

 ドラマの台本だと、ガーンと落ち込んだりするじゃないですか。僕は違った。だって、余命6ヵ月と区切られたからといっても、みんな区切られているじゃないですか。死なない人はいないんだから。『俺の人生、こういうドラマ展開できたか』と思っただけでね。自分でも『なんだ、この落ち着きは』と思ったくらいです」

 そんな中さんのがんは、抗がん剤治療後、目に見えて小さくなってきた。いまは3~4週間に1度、入院して抗がん剤治療を続けている。

「余命宣告から1年3ヵ月以上たっているけど、小さくなった状態をずっとキープしています。女房があれこれ工夫して、おいしくて身体にいいものを毎日食べさせてくれるんです。おかげで毎日食事がおいしい。抗がん剤をやっているのに食欲が落ちなくて太ってしまい、減量しているくらいです。『まだ逝くはずがないな。こんだけ食事が美味しいんだから』、そう思っています」

 中さんがこうして前向きでいられるのには、ひとつ理由があった。

「僕の信条は『奇跡は必ず起きる』。ただし、信じる者にしか起こらない。この考えは、病気になる前も今も同じです。またこういう取材を受けて、『中さん、本当に治っちゃいましたね』と言われるようになっていれば最高だね。そのときは、『この前言ったでしょう、奇跡は起きるんだよ』って言うからね」

 宣告された余命を乗り越え、奇跡を起こすには、さまざまな要因があるだろう。だが、もし神が存在するのなら、「生きたい」と強く願い、必ず治ると信じた人にだけ、手を差し伸べるに違いない。

「週刊現代」2013年6月15日号より