サッカー
10年先、20年先を見据えた若年層の育成なしに、世界の舞台で恒常的な成果は望めない!

ベトナムのキッズアカデミーにて

 日本代表のブラジル・ワールドカップ出場決定を、私はベトナムで知りました。理事長を任されている「アスルクラロスポーツクラブ」のスタッフが、同地でキッズアカデミーに携わっているからです。

 昨年は6月から1ヵ月ほど開催し、好感触を得ることができました。今年はさらに期間を長く設定し、募集人数も増やしました。6歳以下、8歳以下、10歳以下の3つのカテゴリーで、25人ずつ二つのグループを指導していきます。

 首都ハノイで行なった4月のセレクションには、たくさんの子どもたちが集まってくれました。ベトナムサッカー協会の会長と専務理事、それに教育省の関係者も足を運んでくれました。地元テレビや新聞の取材も受け、我々の試みに対する期待を強く感じました。

 ベトナムサッカー協会の関係者からは、現地を訪れるたびに「代表監督をやってくれないか?」と言われます。指導者のひとりとしてはありがたい申し出ですが、「それよりもまず、タネを蒔きましょう」と私は答えます。"タネ蒔き"とはもちろん、子どもたちの育成です。

 日本が初めてワールドカップに出場したのは、1998年のフランス大会でした。この大会で若くしてレギュラーをつかんだ中田英寿、川口能活、城彰二らの選手たちは、中学・高校年代から日本代表として活躍してきました。私自身も日本サッカー協会のスタッフとして若年層の育成に携わり、中長期的な視点で彼らと接していきました。

 私が日本代表のコーチを務めた2002年の日韓ワールドカップのメンバーは、若年層の世界大会に出場した選手ばかりでした。17歳以下、20歳以下といったカテゴリーで世界の舞台を経験することで、自分の強みは何なのか、自分に足りないものは何なのかを、世界という物差しではかることができたのです。伸び盛りの年代で受けた刺激は、「もっとうまくなりたい」という意欲へ結びつきます。

 代表チームに時間とお金を注ぎ込めば、一時的にせよ強くなることは可能でしょう。しかし、目先の勝利を追い求めるのは、実は効率が良くありません。選手が入れ替ってしまったら、またゼロからやり直しです。それよりも、土台となる子どもたちの指導に注力したほうが、恒常的な成果へつながります。10年先、20年先の繁栄を見据えた若年層の育成なしに、オリンピックやワールドカップの出場は望めないと言ってもいいでしょう。

サッカーにもビジネスにも重要な「良い習慣」

 ところで、子どもたちをセレクションする際には、以下の四つのポイントに基づいて評価をしていきます。

①集団行動力があるか。
②向上心を持っているか。
③努力する姿勢があるか。
④良い習慣を身につけているか。

 サッカーはチームスポーツです。サッカー選手としての才能はもちろん必要ですが、集団で行動できる力が求められますし、つねに向上心を持って努力できることも大切です。

 良い習慣も欠かすことができません。

 決められた時間に食事をする。学校の授業を受けて、予習・復習をする。練習時間に遅れない。夜ふかしをしないで睡眠を取る。両親や指導者の言うことを聞く。

 どれも当たり前のことですが、だからこそ難しいものです。

 ビジネスシーンにおいても、「良い習慣」は大切な要素でしょう。基本的には個人の心がけによって身につくものですが、必要に応じて上司から働きかけても良いと思います。ここで言う働きかけとは「問いかける」ことで、「ああしなさい、こうしなさい」という命令や指示ではありません。問いかけることで相手に気づかせ、自分の意思で良い習慣を身につけていくような方向づけがベストです。

 集団行動力、向上心、努力する姿勢も、ビジネスシーンに当てはまります。

 あなたが属する組織、あなたが指揮する組織は、いかがでしょう? 停滞感が漂っていたり、思うような成果があげられていないようなら、ここであげた四つの項目に基づいて組織を見直してみたらどうでしょうか。

 良い習慣の第一歩として、出勤したら元気に挨拶をする---それだけでも組織の雰囲気は変わります。すぐに手をつけられることからひとつずつ、みんなでトライをしてみてください。

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