[NBA]
杉浦大介「レブロン・ジェームス、歴史との戦い」

~2013年ファイナル展望~

マジック、ジョーダンに匹敵するレベルへ

「僕がプレーするのは優勝を勝ち取るため。その目標にたどり着くためには、とても長い時間が必要で、ファイナル制覇はバスケットボール人生の中で達成するのが最も難しいことだった。いつでも成功できるわけではなく、(2007、11年のファイナルでは)2度も敗者の側にまわってしまった。今季、こうして再び勝負ができる立場に戻ってこれたことをうれしく思う」

現役最強プレーヤーは2年連続ファイナル制覇を達成できるか。

“キング・ジェームス”との愛称を冠されてNBA入りしたレブロン・ジェームスにとっても、昨季、マイアミ・ヒートの一員として初優勝を飾るまでに9年もの長い時間が必要だった。そんな経験を経てきたからこそ、サンアントニオ・スパーズと対戦するファイナル開始前の言葉には余計に実感がこもっているように感じられたのだろう。

 今季も平均26.8得点(FG成功率56.5%、3ポイント成功率40.6%はともに自己最高)、8.0リバウンド、7.3アシストと驚異の成績を残し、この5年間で4度目のリーグMVPを獲得。史上2位の27連勝という記録の立役者となり、シーズン通算でもヒートをリーグ最高勝率(66勝16敗)に導いた。

 入団当初とは異なり、その爆発的な身体能力に依存してプレーしているようにはもう見えない。心身ともに研ぎすまされ、弱点らしい弱点は存在しなくなった。28歳とピークの年齢に差しかかり、今のレブロンはNBA史上でも最高級のプレーを展開していると言ってよい。

 そういった今季の活躍と、せっかちな米メディアの性質を考えれば、3年連続の出場となったファイナル開始前に、レブロンをマジック・ジョンソン、マイケル・ジョーダンといった過去の偉大な選手たちと比較する声が改めて飛び出し始めたのも当然のことなのかもしれない。

「自分のレガシーを考えながらプレーしているわけではない。このゲームを楽しみながらプレーするのが好きで、競争を愛しているからだ。キャリアが終わったとき、僕ではなく、あなたたち(メディア)が僕のレガシーを判断することになるのだろう。しかし、そんなことを心配してはいないよ」

「Witness History(歴史を目撃しろ)」と刻まれた巨大ポスターがヒートのアリーナには掲げられている。

 歴史的評価ばかりを語りたがる周囲に対し、当のレブロンは無関心を貫いたコメントを残している。実際、まだ現役選手であるレブロンを歴代グレートたちと比べるのは、いわばコイントスのコインが宙を舞っている間に表裏を決めようとするようなもの。特に史上最高のバスケットボーラーと呼ばれたジョーダンとの比較など、余りにも時期尚早すぎる感は否めない。

 もっとも、そんな声が飛び出すこと自体が、この現役最高のプレーヤーへの周囲の尊敬の証。そして、今年のファイナルでスパーズを下して2連覇を飾れば、その名声はさらに高まることは間違いない。