[レスリング]
近藤隆夫「五輪競技であることが、そんなに大切か?」

スポーツコミュニケーションズ

何のために競技はあるのか

 話を聞きながら私は妙な気分になったが、これはレスリングに限ったことではない。

 野球も同じだ。「試合が長すぎるというのなら7イニング制にする」としている。それだけではない。「3ボールで四球、2アウトでチェンジにすればいいじゃないか。何よりも五輪競技に戻ることが優先」と言いだす指導者もいるくらいだ。

 ちょっと待ってほしい。一度、冷静になって考えてみては、どうだろうか。

 何のためのレスリング、何のための野球……何のために、それぞれの競技は存在しているのだろうか。五輪というイベントへの参加が、その競技にとって、それほど絶対的に譲れないことなのだろうか。

 レスリングは、日本でも決して人気競技ではない。五輪が行なわれる年だけ、世間から多大な注目を集める競技だ。日本選手権レベルの大会でも、例年は客席に座るほとんどは関係者で空席が目立つ。だからこそ「五輪競技でなければ」との思いが関係者には強いのだろう。

 加えて、五輪競技から外れれば、国際レスリング連盟はIOCからの助成金は受けられなくなり、スポンサードしてくれる企業の数も減ってしまうことになる。いままでのように運営することも難しくなるかもしれない。