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話題の本の著者に直撃!野村克也
負けたとき、失敗したときにその人間の価値が決まるんです

のむら・かつや/'35年生まれ。京都府出身。南海ホークスにテスト生で入団。のちにロッテオリオンズ、西武ライオンズでプレー。通算2901安打、657本塁打、1988打点。通算24年間の監督生活で1565勝1563敗。座右の銘は「生涯一捕手」

—監督生活24年間で積み重ねた勝利数は1565。勝つために知恵を絞り、弱いチームを勝てる集団へと変貌させ、智将の名をほしいままにしてきた野村さんが、負けかたについて書かれたというのは意外でした。

「負けかたについて書いてほしい」という依頼をもらったときは、どういうことかと思いましたよ。勝負の世界で、どうしたら勝てるかということにこだわってきたわけですから。負けかたなんて考えたこともなかった。

『負けかたの極意』
著者:野村克也
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 ただ、振り返ってみると、私の人生は最初からうまくいくことなど一度もなく、いつも負けからのスタートだった。なぜ、うまくいかなかったかを自問自答することで前に進んできた。人間というのは不思議なもので、なぜ勝ったかはあまり考えない。負けや失敗から学ぶことのほうが多いんです。負けた理由を真剣に考え、次に勝つためにどうつなげていくか。そうやって勝ち星を挙げてきた私なら、負けとどう向き合うべきかについても書くことができるんじゃないかと思い直したんですよ。

—天才やエリートにはわからない逆転の発想。野村さんらしい金言が並んでいますね。

 プロ野球の世界には私より才能のある選手はいくらでもいました。それでもやってこられたのは、敗者の特権を活かしてきたから。ひとつは「敗者は勝者より考える」ということ。私自身もそうでしたが、勝ったときに反省しても、負けたときほど突き詰めて考えようとはしないんです。敗者は人が気づかない、見えない、見ていないところに神経を使い、相手が何を考えているか、どういう心理でいるか、そういうところを見ていかなければいけない。