雑誌
英『エコノミスト』編集長「安倍〝機長〟には懐疑的です」
乱高下を続ける日経平均株価(図中の数字は終値)と安倍機長の先行きを、エコノミスト風にコラージュしてみました
安倍首相自身も喜んだ、スーパーマンをパロディ化した表紙。だが、戦闘機2機を従えていることが、右傾化への懸念を示唆していることに気付いているだろうか

〈鳥か? 飛行機か? いや、日本だ!〉

 イギリスの伝統ある経済誌『エコノミスト』が、5月18日号で日本の安倍政権についての特集記事を組んでいる。表紙にはスーパーマンの格好をした安倍晋三首相(58)を〝起用〟、4ページにわたり安倍首相の政治手腕やアベノミクスの効果についての分析を行っている。安倍首相もスーパーマンにたとえられご満悦のようで、自身のフェイスブック上で、

〈まさかスーパーマンになるとは想像しなかった。ちょっと気恥ずかしいです〉

 と発言。まんざらでもなさそうだ。

「安倍さんはこの特集が相当嬉しかったようですね。 '07年に首相を辞めたときには、同誌は『安倍首相は経済を放置した』と辛辣に評価していましたから」(全国紙政治部記者)

スクリューフレーションの危機

 だが、浮かれるのは気が早い。今回の特集を組んだ真意について、同誌編集長のジョン・ミクルスウェイト氏が次のように明かす。

「表紙にスーパーマンの格好をした安倍首相を登場させたのは、彼が首相に就任してから、円安・ドル高が飛ぶような速さで進んでいるからです。円安によって日本の景気が浮揚したから、スーパーマンの〝S〟のマークを¥のマークに変えた、というわけです。別に安倍首相がスーパーマンだ、と言いたいのではありません。

 たしかに今回の特集では、アベノミクスについてある一定の評価をしています。しかし、あくまでも〝条件付き〟です。たとえば『安倍氏は間違いなく、偉大な首相の一人に数えられるだろう』と書きましたが、これは日本の高齢化問題の解決やデフレからの脱却など、安倍内閣が掲げた計画の半分でも成功させれば……という前提があっての話です。

 私の実感では、〝Mr.Abe has talked down the yen.(talk down とは、口先だけという意味)〟つまり、口先だけで好況感を演出している、と思っています」

 5月23日より日本株が乱高下をはじめたが、同氏は「この乱高下は、安倍〝機長〟が操縦するアベノミクスの行方を不安視するのに十分な材料だ」と続ける。

「日本株の乱高下は、依然として日本経済が不安定であることの現れでしょう。日本株を短期的に売買している人のほとんどは外国人投資家で、乱高下する日本株でボロ儲けしているのです。日本の庶民に恩恵をもたらしているとは思えません。手放しで礼賛したわけではないということを理解していただきたい」

 ミクルスウェイト氏は「やはり1年ぐらいは経たないと、安倍政権、アベノミクスに対する評価は下せない」と言うが、日本のエコノミストのなかにも、日本経済の先行きに懸念を示す見方が徐々に増えている。大阪経済大学経営学部客員教授で、金融コンサルタントの岩本沙弓氏は、日本が〝スクリューフレーション〟に見舞われる危険について言及する。

「景気が悪化する中でインフレが起こることを、スタグフレーションといいます。これは馴染みのある言葉でしょうが、スクリューフレーションとは、中間層の賃金が上昇しないなかでインフレが起こることで、これが実際に起これば中間層の生活が立ち行かなくなります。

 すでに日用品の価格が上昇し始めているのはご承知の通り。にもかかわらず、それに合わせた給与の上昇は起こっていない。景況感を上向きにした点では安倍政権を評価しますが、この先中間層の所得を確保していく政策をとれなければ、アベノミクスのもと庶民の生活は困窮してしまう。それを強く懸念しています」

 次の日本特集では、地面に激突した安倍首相の絵が表紙……なんてことにならなければいいのだが。

「フライデー」2013年6月14日号より

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