対策に困る団塊世代の介護問題。政策ビジョンは見えないが経済力で人間の寿命が決まるのは回避すべきだ
佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」号外 文化放送「くにまるジャパン」発言録より
【目次】
―第1部― インテリジェンスレポート
 分析メモ No.33「慰安婦問題をめぐる橋下徹大阪市長の発言が北方領土交渉に与える影響」
―第2部― 読書ノート
 読書ノート No.40 佐高信『友好の井戸を掘った人たち』
―第3部― 文化放送「くにまるジャパン」発言録

いきなりですが、リスナーのみなさまからいただく今日のメール・FAXのテーマはこちら。

伊藤: 「スニーカー」

邦丸: ちなみに、「スニーカー」という言葉の語源は、英語の「sneak(スニーク)/忍び寄る」からきているそうですね。硬い靴底のカツン、カツンじゃなくて、底がゴムでできていますので軟らかいから音がしないということで、そこから始まったそうです。なんでそんなテーマにしたかというと、私、先々週かな、ちょっと派手な色の・・・・・・。

伊藤: ものすごーーーい蛍光色のオレンジと赤の間ぐらいの。

邦丸: そ、そんなイヤそうに言わなくても・・・・・・。

伊藤: 朱色ってやつですかっ。邦丸さんにしか履けないですよねっ。

邦丸: そ、そんなふうに言わなくても・・・・・・。

伊藤: いえ、オレンジがお似合いになると言っているんです。

(略)

邦丸: 夏しか履けないんですよ。メッシュになっているから、冬に履いたら寒いだろうなという。せっかく買ってきたし、その日はちょっと暑いしっていうんで会社に履いてきたら、みんなに「派手ですね」「派手ですね」って言われたんだけど、そんなに派手かね。

伊藤: どう思いますか?

佐藤: い、いいと思いますよ。

邦丸: いいですよねえ。

佐藤: い、いや、あの、ソ連にいたころは・・・・・・。

邦丸・伊藤: キターーー!

佐藤: あの、「スニーカー」って言葉はなかった。「トレーニャ」っていった。

邦丸: それ、ロシア語?

佐藤: そう。要するに、トレーナー。

伊藤: ああ、トレーナーから。

佐藤: だから「トレーニャ」ってロシア人は言います。

邦丸: へぇ~。

佐藤: いろいろなトレーニングやテニスなどのスポーツで使う靴なんか、作っていないんですよ、ソ連で。

邦丸: では、どうするんですか。

佐藤: だから、外国から買わないといけないんです。スポーツ選手は特別割り当てがあるんですけれど、普通の人にはない。

邦丸: 旧ソ連時代は。

佐藤: そう。それで、旧ソ連時代の運動靴は怖いの。靴を履くときはまず、よく中を手で触って、クギとか突起物とかがないか、ケガしないか。要するに、内側に向かってクギが飛び出していないかチェックしてから試着するという、こういう時代でしたから。

伊藤: えーっ。

佐藤: ですから、ロシア人に頼まれるんですよ、スニーカー買ってきてくれと。

深読みジャパン

邦丸: 今日はこのニュースを取り上げましょう。

伊藤: 共同通信から。「団塊世代の男性、半数以上が妻に介護を希望」
団塊の世代を対象にした内閣府の調査で、男性の半数以上が妻に介護を頼みたいと考えていることがわかりました。一方で、夫による介護を希望する女性は4人に1人にとどまっていて、男女の意識には大きな隔たりが見られます。

この調査は、1947年~49年のベビーブーム時代に生まれた団塊の世代を対象に行われたもので、男女ほぼ半々の、合わせておよそ3500人から回答を得ました。このうち、自分が介護を必要とする状態となった場合、誰に介護を頼みたいかをたずねると、「配偶者」と答えた男性は55%に達しましたが、女性はほぼ半分の27%でした。

一方、「施設や病院の職員、看護師」、または「ホームヘルパーや訪問看護師」に介護を頼みたいと答えた人は、女性が合わせて47%に上ったのに対し、男性は合わせて26%にとどまりました。

邦丸: えー、ということで、男性のほうが奥様に介護を頼みたい。でも奥様のほうは、いやあ、もうダンナは・・・・・・。

伊藤: やだ。

邦丸: やだ。ヨっちゃんもそうでしょ。

伊藤: もちろん。

佐藤: くにまるさん、やっぱり奥さんに介護してもらいたいと思います?

邦丸: わ、私ですか。このニュースを読んでからずっといろいろ考えていたんですけど、うーん、いちばん頼れるのは女房だからっていう甘えはあるかも。

佐藤: 介護の面で頼むかどうかってことなんですけど。

邦丸: うーん・・・・・・。

佐藤: 僕、皮膚感覚でものすごく違和感があった。

伊藤: ほおー。

佐藤: 要するに、介護に関してはやっぱり介護のプロに。介護保険もあるし、と。私の場合、自分の父親が先に死んで、膀胱ガンだったのでおちんちんを切っちゃって、最後の1年ぐらいは痛みが背中にいったりして結構大変だったんですけど、結局、母親が最後まで看て、そうとう消耗しているのを見ていたんですよね。

だから、自分の家内には介護というのではなくて、介護はプロにやってもらって、むしろ家内とは話をするとか、そういったようなところでメンタルな面とか人間的なつながりのほうを頼みたい。そこは分けて考えているので、なんでこんなに奥さんにしてもらいたいと思うのかなと。

たとえば、お風呂に入れるにしても、ベッドから動かすにしても、玄人と素人はぜんぜん違うんですよね。だからこの種のことというのは、僕はプロに任せることじゃないかなと。

邦丸: そうですね。

佐藤: 上の世代の人たちも同じ感覚なのかなと思ったら、こんなに違うのかというのが、ちょっとびっくりしましたね。

邦丸: 具体的に自分のこととして考えてみると、あまり女房に負担はかけたくないというのも、もちろんあるんですけど。一方で、女性は4人に1人しかダンナによる介護を希望しないという。なんで、男女間でこんなに違うんだろうと思うんですけどね。

伊藤: 逆に私、よく4人に1人もいたなって思いました。

邦丸: 5人に1人ぐらいだと思っていた?

伊藤: 思いましたね。よっぽどまめまめしく家事をおやりになる、いいダンナさんなのかと、ちょっと思ったけど。

佐藤: あるいは、他人におしめの処理とかしてほしくないっていう意識が強いんじゃないかな。それだったら、身内のダンナのほうがいいと。

邦丸: ああ、そうでしょうね。そういうのもあるかもしれない。女性がそれだけ数が少ないってことは、女性はどうなんだろう。どうしてこんな数字になったんだろう。よく聞くのは、ダンナさんと一緒のお墓に入りたいですかっていう質問。ダンナに聞くと、「女房と一緒に入りたい」。ところが、女房は意外とそうでもないと。そういう数字が一回出たのを覚えているんですけど。

伊藤: 個人差があって、それぞれ違うというのは置いておいて、圧倒的に今の日本では、奥さんのほうがダンナの面倒をみていると思うんですよ。

佐藤: そりゃそうです。

伊藤: 稼ぎ頭だった時代はそれでいいけれど、それが終わった後もそれが続いちゃうから、もういいでしょうと。

邦丸: なるほどな。もういい、だな、たぶん。

伊藤: もういいよ、こんなに面倒みてあげたんだし、いいでしょって思っちゃうかな。

佐藤: あと、結婚は1回目か2回目かっていうのが結構、関係しますよね。

邦丸: ああ、それはそうですね。

佐藤: 私なんか2回目ですとね、1回目の結婚はどうして失敗したのかなというと、まあ年齢的に若かったというのもあるんだけれど、やっぱり「わがまま」になるわけですよ。2回目になると注意しますからね、いろいろなところで。ちょっとした言葉の使い方とか、もの言いとか、あるいはイライラしているときは八つ当たり気味だなということに自分で気づきますからね。

邦丸: どちらにしても介護の問題というのは、今後もっと出てきますね。現実的には、待機児童じゃなくて待機おじいちゃん、待機おばあちゃんが数字的にもずいぶん多いわけですから。これもなんとかしなきゃいかんということなんでしょうけども。

ウチも前に聞いたことがあったかなあ。ウチは2つ上の姉さん女房ですからね。「あなた、私のほうが先に逝くからね。あなた、独りで生きていけるようにしなさいよ」っていうふうには言われますけどね。

伊藤: 私は圧倒的に自分が生き残ると思っちゃっているんですね。4つしか違わないんですけど。だから、「死ぬまでに、これ全部片付けておいてね」とは言います。「私が片付けるのはイヤだからね」と。

邦丸: まだまだ先のことだけどね。

佐藤: 舛添要一さん(新党改革代表)が、かなり早くから介護について問題意識を持っていて、『親と離れて暮らす長男長女のための本』を書いています。そのなかで介護について、自分自身の介護疲れということも含めて、「介護の物理的なことに関してはプロに委ねる、愛情は家族。そういう分業しないと、介護はとてももたない」と書いていたんですよ。これは基本的に正しいと思うし、この枠でいかないと。男は重いですから、特に私みたいに太っているのは。それを毎日動かすのは大変です。

ところがプロは、もちろんこれは大変な仕事ですが、しかし、どこをどういうふうに動かせばいいか、ノウハウをよくわかっているんですね。ベッドの使い方にしても。

邦丸: そういうことを考えていくと、年金の問題もあるし、健康保険の問題もあったけど、介護保険で賄い切れるのか。ある程度余裕のある方はなんとかなるかもしれませんけど、要するに、特別養護老人ホームに入れない方がこれだけたくさんいるってことで言うと、経済的に介護はムリっていう状況にならないように、今のままの介護保険ではたしていいんだろうか。今、国会でも問題になっていますけど。どうですかね、その点は、佐藤さん。

佐藤: これは非常に深刻ですよ。ただ、民主党政権時代からやっていて、今度成立した「マイナンバー」なんていうのは、結構重要だと思うんですよ。

邦丸: 共通番号ですね。

佐藤: 保険料をきちんと払うようにするっていうこと。

それから、ちょっと心配なのは、日本の国のビジョンを決めないといけないと思うんですよ。要するに、高負担なんだけれども介護に関しては国を経由してきちんとやっていくんだという、北欧型に近い形での大きな政府で、その代わり税金あるいは介護保険料をたくさん取りますよというスタイルなのか。そこのところは自助努力になる、だから自分でおカネを積み立てておくか、保険に入っておくというビジョンでやっていくのか。やっぱり方向性を決めないと、政策を立てられないですよね。

邦丸: そうですねえ。

伊藤: 佐藤さん、どちらが日本には合っていると思いますか。

佐藤: 私は、「大きな政府」論者なんですね。

邦丸: 高負担で高福祉のほう。

佐藤: 高負担で高福祉のほうがいいと思います。

伊藤: 税金をしっかり取って。

佐藤: そう、税金をしっかり取って。

邦丸: 間違いなく、あと十数年後には1人の青年が5人のおじいちゃん、おばあちゃんを支えることになる、ということでしょ。そのおじいちゃん、おばあちゃんにオレも入っているからなあ。

伊藤: 入っているんですよ、恐ろしいことに。自分の両親の介護でもちょっと大変なことがありますからね。

佐藤: 人間の命の問題に関して、経済力によって命の時間が違うとか、そういうの嫌いなんですよ、私。

邦丸: うん、うん、そうですね。経済力によってね。

佐藤: 経済力が及んでいいところと、及んでいけない領域というのがやっぱりあると思うんです。やはり、人間の生命というところは、経済力によって、経済力のある人はいくらでも心地のいいところで長生きできるような環境があるけれども、経済力のない人はそれが故に寿命が短くなるっていうのは、これは極力避けるべきではないかと思うんです。
邦丸: そうですね。

佐藤: 理屈じゃないほうがわかりやすいんです、これは。

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