佐々木俊尚『クラウドソーシングによる「報酬破壊」はどうやれば防げるか』

クラウドソーシングが報酬引き下げの引き金に

 クラウドソーシング市場が日本でも盛りあがってきている。代表的なところでは「ランサーズ」「クラウドワークス」が知られているが、それ以外にも国内で100社を超える企業が、この分野に参入していると言われており、かなり過剰競争気味だ。

 このクラウドソーシングは、諸刃の剣だ。仕事のマッチングが最適化され、非正規雇用の人でも以前より仕事を得やすくなる可能性がある一方で、グローバルなプラットフォームになっていくと、仕事の単価が世界で平準化され、先進国では報酬が下落してしまう危険性があるからだ。

 クラウドソーシングを知らない人のために説明しておくと、これは企業が仕事を外部に発注する際、これまでのように特定の契約先にまとめてお願いするのではなく、業務を細分化してインターネット上でそれらの業務をやってくれる個人・中小企業を探し、発注するというシステムである。

 受注する個人の側から見れば、企業に営業活動をかけたり、アウトソースしてくれそうな仕事を探すというような手間が不要になる。また発注する企業の側からは、多くの応募者の中から質の高い仕事をしてくれる最適者を選びやすいというメリットがある。

 最初にこの分野を切りひらいたのは、アメリカのElanceやoDesk、Guruといった企業だった。2000年代半ばごろにいくつかのサービスが始まり、当初は「フリーランス・マーケットプレイス」などと呼ばれていた。

 具体的な運用方法としては、たとえばウェブデザイナーやプログラマーなど「どのような人を求めているのか」という必要なスキルと、週にどのぐらいの時間働いてほしいのかという労働時間、製品の納期などを、発注したい企業が登録する。その仕事の内容を見てフリーランスが「自分はこれだけのことができます」「このぐらいの金額でどうですか」と応募してくる。企業の側はそれら候補者の能力や料金などを検討し、ウェブサイト上で契約を結ぶという仕組みになっている。

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