毎日フォーラム~毎日新聞社

ボーイング787運航再開
トラブルの根本原因不明 改善策で安全性強調[航空]

2013年06月10日(月) 毎日フォーラム
毎日フォーラム
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確認飛行に出発する直前のボーイング787=松山空港で5月4日

 全日本空輸と日本航空の国内大手航空2社が6月1日、最新鋭中型旅客機「ボーイング787」の定期便の運航を再開した。787はバッテリーの発煙トラブルなどで1月中旬から運航を停止しており、約4カ月半ぶりでの復帰となった。ただトラブルの根本原因は依然不明のままだ。両社とも米ボーイング社による改善策を施したうえで、独自の安全対策を導入したが、利用者の安全・安心を得るための慎重な対応が求められている。

「改善策はあらゆる(トラブルの)原因を網羅しており、バッテリー不具合の再発を確実に防止できる」――。全日空の篠辺修社長は4月26日、日米航空当局による787運航再開承認を受けた直後の記者会見で、こう述べ、安全性を強くアピールした。

 787は2011年11月、全日空が世界に先駆けて定期便の運航を開始、その後、日航をはじめ各国の大手航空会社も次々導入し、好調に運航を続けていた。しかし昨年夏ごろから、さまざまな不具合やトラブルが相次ぎ、今年1月7日には、米ボストン・ローガン国際空港で日航機の補助動力装置用バッテリーから出火。数日後の同16日には全日空機が機内で煙を検知し、高松空港に緊急着陸するというアクシデントが生じた。これを受け、米連邦航空局(FAA)が787の運航停止命令を出し、国土交通省も運航見合わせを指示、日米航空当局による原因究明の調査が始まった。

 調査の結果、バッテリー内部で制御不能な高熱を発する「熱暴走」が生じていたことが判明。しかし、なぜ熱暴走が生じたか、の根本原因はなかなか解明できず、長期にわたり、運航が再開できない状況に陥った。主力航空機の運航停止措置では、1979年に起きた墜落事故を機に米ダグラス社(現ボーイング)の「DC10」が、日米航空当局などから約1カ月間、停止させられたケースがある程度で、787の運航停止は異例の長さとなった。

 原因が分からず、運航再開がいつかなうか先行きが見通せない中、米ボーイング社が打って出たのは、約80項目に及ぶ具体的な原因を想定したうえで、それぞれの原因に応じた改良策をあらかじめ講じる手段だ。例えば、電池1個ずつに絶縁テープを巻いたり、電池と電池の間に絶縁性や耐熱性を強化した仕切りを設置するなどして、万が一、熱暴走が生じた場合でもバッテリー内部で確実に火災をとどめられるようにした。日米航空当局は、こうした改善措置を施した787の安全性を検証し、運航再開を承認。ようやく運航再開が実現することになったが、根本的な原因究明がなされないまま、利用者が安心して787に搭乗してくれるのかという重大な課題が残った。

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