2013.06.13(Thu)

キッチンから元気な声が聞こえてくる店はいい店だと思っています。
ダイナックの店舗では「調理人も営業」です。

ダイナック 若杉和正

週刊現代
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バンド 学生時代、モダンフォークソングのバンドを組み、演奏していた若杉氏(右から2人目)。「授業も多少は行きましたよ」とお茶目に笑う

天職

 子供の頃から、自治会、生徒会の会長などに「立候補する人!」と言われたら、必ず手を上げていました。大学を卒業し、サントリーに入社したのも、商品をお客様の手にとっていただき、反応をいただける職業に就きたいと思ったからです。昔から「多くの人から目に見える反応をいただくとうれしい人間」なのでしょう(笑)。

半泣き

 いい教育を受けました。約30年前、マーケティング部にいた時、先輩に言われた言葉です。「キミの仕事の成果は、ご家庭で、居酒屋さんで現れているはずだ。そのためには、どんな商品を作るかだけでなく、営業にどう動いてもらい、問屋さんにどのように販売していただくか、その一連の出来事すべてをプランニングする必要がある。そこまでやって初めてキミの〝仕事〟だぞ」と聞かされました。

 この先輩は厳しい人でした。会議で私がムダに長い説明をした時は「15分もらったら15分使っていいと思っているのか?出席者の給与を時給換算し、キミが使ったムダな時間の分を計算すればすごい金額になる。さあ返せ」と言われたこともありました。思わず、半泣きですよ(苦笑)。

深み

「無理なことをゴリ押しするのは、仕事が薄っぺらい証拠」と思っています。30代の頃、営業組織の改善に携わった。この時、私は机上の空論を並べたくなかったのでとにかく現場へ赴き「今、何が問題ですか?」と聞きまくって、会議までに詳細なレポートを作成しておきました。すると、そんな実態に即したレポートを作成していた人はほかにおらず、私の案が採用されたのです。反対もありましたが、自分の目で確かめた事実があったからこそ事情説明でき、改革は成功を収めました。この時、件の先輩に「仕事の深みとはこういうことだ」とほめていただいたことを覚えています。

元気! 若い社員たちと一緒に『東京ドイツ村駅伝』に参加した時の記念写真。「社員とともに過ごす時間が幸せ」とも

名案

 週に3~4日はダイナックの店舗を見に行きます。私は「キッチンから元気な声が聞こえてくる店はいい店」と思っており、ダイナックの店舗では「調理人も営業」という意識付けを進めています。時間があれば、料理長がお客様に感想をお伺いし、何かお話やアドバイスをいただけばよいのです。

最適解

 弊社はセントラルキッチン(工場で大量調理してチェーン店で出す)方式は採用せず、可能な限り、食材をお店で調理しています。「効率化より最適化」が大事なのです。セントラルキッチン方式で効率化を進めることが最適な業態であれば、それが一番いい。一方、うちの店舗はお客様の目の前で「食材」を「価値」へと高めてゆくことが最適なのです。

 あと、食材を調達する人間が「はいピーマン、こっちはトマト」と単に仕入れるのでなく、産地に何度も出向いて人間関係を築き「この生産者の方が作った肉厚のピーマンです」と言えるのも強みですね。こういう努力を積み上げていくと、ちょくちょく、本当にいい食材にめぐり合えるのです。これも「深みのある仕事」かもしれません。

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