2013.06.13(Thu)

キッチンから元気な声が聞こえてくる店はいい店だと思っています。
ダイナックの店舗では「調理人も営業」です。

ダイナック 若杉和正

週刊現代
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約5000名もの社員・アルバイトスタッフを率いる人物に、繁盛店の作り方を聞いた。ダイナック社長・若杉和正氏(59歳)。同社は、和食が楽しめるダイニングバー『響』『燦』、生パスタが人気の『パパミラノ』などを243店舗展開するサントリーグループのレストランチェーンだ。


キッチンから元気な声が聞こえてくる店はいい店だと思っています。 ダイナックの店舗では「調理人も営業」です。わかすぎ・かずまさ/'54年、大阪府生まれ。'77年に大阪大学法学部を卒業し、同年、サントリーへ入社。'00年3月に同社営業推進本部長に就任し、'03年10月には開発事業部長、'05年3月には外食事業部長へ就任する。'06年1月サンリーブ代表取締役社長、'07年9月ダイナック顧問、同年12月より現職

社長論

 お店の理想の状態とは何か。考えに考えた末の結論は「お客様もスタッフも満足し、楽しそうな笑顔でいてくださる状態」でした。そして社長の役割は、この理想の状態を目指し、組織を作り、人を動かすことだと思っています。

何度も

 社長は細かい指示を出すより、経営理念を定め、浸透させていくことが仕事だと思います。社員やアルバイトスタッフに理念を伝えるポイントは「わかりやすい言葉を決め、何度も同じことを言い続ける」こと。私の場合は「感動と満足をご提供しよう。それが各個人の成長につながる」ということを、場所や言葉を変えつつ、繰り返し伝えています。聞くほうも「また同じ話か」と思っているかもしれません(笑)。ですが、口にした時「もうわかってます」と思われるくらいがちょうどよいのです。

育つ

 思いが共有できると、従業員は具体的な行動を起こしてくれます。弊社の例をあげれば「お客様の声の共有」です。スタッフが1日1回は、お客様のお言葉をメモなどに残します。それを現場責任者や本社のスタッフが読み、様々な仮説をもとに改善策を考えるのです。

 お客様の本音から本質的な問題を探るのは難しいことです。仮にお客様が「料理の量が多すぎる」とおっしゃっても、じつは盛り付けの方法が悪いだけ、という時もあるからです。しかし「よい店を作ろう」という理念さえ共有できていれば、人はいつか仕事に通じ、次第に店全体が育っていくから面白い。

コート

 お客様のご意見の中でも、鋭い少数意見を大切にすることが重要です。たとえば弊社では、コートをおあずかりした時、男性のものと女性ものを一緒のハンガーにかけないなどの工夫をしています。ご同席された異性の香りがコートにうつり、奥様や旦那様にあらぬ疑いをかけられでもしたら大変です。これは、様々なお客様からの声を総合したのでなく、ある鋭いお客様のアドバイスを元にルール化したものでした。

 思えば「よい店を作る」ポイントは、いかにお客様の声を逃さず聞き、それを反映させるかに尽きるのかもしれません。チェーン店の難しさは、それを現場のスタッフにやってもらうことでしょう。

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