サーベラスはなぜ四面楚歌となり、西武HDのTOBに失敗したのか
西武ホールディングのスホームページより

「意外」というより、「少々、みっともない」のが、米投資会社サーベラスによる西武ホールディングス(HD)への敵対的公開買い付け(TOB)の結果だった。

 サーベラスグループによれば、応募株式は約1039万株で、これにより32.42%だった持ち株比率は35.48%になったという。3分の1以上を確保したことで、株主総会で重要事項を拒否できる権利は持ったものの、取得上限の44.67%は大きく下回った。

 サーベラスは、TOB期限を二度、延長し、その都度、後藤高志社長ら経営陣の“非”をあげつらって攻撃した。そして、「西武HDにガバナンス(統治)を定着させるため」として、五味広文元金融庁長官ら8人の取締役候補を提案した。

1,400円というTOB価格に割安感

 思惑が外れたのはなぜか。

 第一に、1,400円というTOB価格を投資家が「安い」と判断したからだろう。

 西武HDの再上場に関わる証券各社は、昨年4月と10月の二度、想定株価を弾いているのだが、4月の時点で2,000円前後だったものが、10月には1,300円前後にまで落ちていた。
 この数字は、公表されたものではないが、TOB期間中に報道され、割安感を持たれてしまった。

 しかもサーベラスは、できるだけ企業価値(想定株価)を高くして、高値売却で出口戦略を成功させたいという思惑を持ち、適正な株価にこだわる西武HD経営陣との対決色を深めていた。

 昨年10月の1,300円前後という数字は、サーベラスにとっては安過ぎる想定株価のハズだ。
 それに少し上乗せの1,400円に個人株主の大半が応募、取得上限の44.67%に限りなく近づくという計算は甘過ぎ、ムシが良過ぎた。

 第二に、株主を見誤った。

 上場廃止でも持っていた西武の個人株主は、沿線住民やライオンズファンなど、株価や資産価値にあまり興味を示さないコアなステークホルダー(利害関係者)で、西武との連帯感を大切にする。

 つまり、欲しいのは株主としての立場であり、株主優待券などを通じて得られる優越感である。

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