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ITトレンド・セレクト
2013年06月06日(木) 小林 雅一

D-Waveの量子コンピュータは本物か? ---その基礎理論を考案した日本人科学者に聞く

 インタビュー全体を通して、西森氏はD-Waveの製品が本物の量子コンピュータであるか否かについて、確たる結論を避けた。また今回のように個人的に話すことは構わないが、D-Waveについて論文を書いたり、D-Waveの実機を使って検証するなど、当事者として判定に首を突っ込むことはしたくないという。

 実際、現在の状況で白黒つけることは難しいだろう。D-Waveのコンピュータが異常に速いことだけは間違いないが、批判的な立場の人たちに言わせると、今くらいのスピードであれば「シミュレーティッド・アニーリング」という古典物理の理論でも説明できるのだという。

 しかしインタビュー終盤で西森氏が指摘したように、今後、qubitの数が現在の512から1024、2048と拡張されるに伴い、もしもD-Waveの製品が本物の量子コンピュータであれば、その性能は桁違いにアップするはずだ。これは古典物理の理論では説明できないので、この時点でD-Waveコンピュータが本物の量子コンピュータであることが証明されたことになる。

 逆に、今後qubit数を拡張しても桁外れの性能アップが見られなかった場合、それは残念ながら本物の量子コンピュータではないという結論が下されることになる。D-Waveが僅か1年余りの間に128qubitから512qubitまで拡張したことを考えると、今後、1024、2048と拡張するまでに、何年もかかるとは思えない。最終結論が下されるのは、意外に早いかもしれない。

 本文の前半でも書いたが、もし本物だとすれば、それは単なる高速コンピュータというより、(西森氏らの量子アニーリング理論も含め)私たちの世界観をも揺るがしかねない世紀の発明だ。今後、D-Waveの技術開発がどう進展し、それにどんな最終判定が下されるのか---恐らく世界中の物理学者が固唾を飲んで見守っているに違いない。

 

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