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ITトレンド・セレクト
2013年06月06日(木) 小林 雅一

D-Waveの量子コンピュータは本物か? ---その基礎理論を考案した日本人科学者に聞く

---他の専門家もそう見ているのか?

 少なくとも(D-Waveコンピュータの)スピードが従来型コンピュータより優れている点については、第三者的な検証も相当固まってきた。が、それでも「まだ駄目だ」としつこく言う専門家も多い。

---そうした批判を、教授ご自身はどう見るか?

 彼ら(D-Waveを批判する人たち)が言ってることには、的を射ている部分もあれば、思い違いをしている部分もある。が、それ以上に重要なことは、そうした批判にD-Waveがどう対応しているかだ。

 ちょっと批判されたからと言って、すぐに感情的になるようなら芽はない。むしろ、そういう批判にきちんと答えることが学問的にはとても重要で、今回、D-Waveはそれをやっている。彼らは自分たちを批判する論文に反論する論文をすぐに出して、それにまた反論が寄せられ、またそれにも論文で反論している。

 こう見てくると、D-Waveは持ちこたえることが出来そうな気がする。少なくとも、誰かに反論されたからと言って、簡単に潰れてしまうような仕事ではない。

---それは結局、(D-Waveコンピュータのベースとなる)「量子アニーリング」という理論が優れていたからか?

 量子アニーリングで解けるのは、「最適化問題」と呼ばれる特殊な問題に限定される。これに対し(量子ゲート方式の)一般的な量子コンピュータはもっと幅が広い問題にも使うことができる。そういう意味では、もし上手く行くなら、そっち(量子ゲート方式)の方がいいと思う。

---つまり(量子アニーリングでは)応用範囲を絞り込んだ分だけ、実用化も早くなった、ということか?

 まあ、そういうことだ。

---しかし、用途が限定されると言っても、グーグルは「機械学習のようなAI研究に使う」と言っている。ほんとに使えるのか?

 機械学習の分野でも、最適化問題は沢山あると思う。あるいは自然言語処理に使われる可能性もある。ただし(製品化されたとは言っても)まだ512 qubitだから(本格的な利用には)微妙なところだ。

---その程度の性能なら、量子コンピューティングに何の意味があるのか?

 今後の発展性だ。今の512(qubit)から、今後1024、2048と拡張していくことで、量子コンピュータと従来のやり方とでは振る舞いが全然違ってくる。量子並列性が大幅に効いてきて、性能では桁違いの差が出てくるはずだ。

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