経済・財政
『国債市場危機説』の本質はどこにあるのか
東京都中央区にある日本銀行本店[Photo]Bloomberg via Getty Images

 株式、債券共に相場が荒れており、頻繁に話題にのぼる。
 ここ数日は、株式市場の変化が大きいが、国債市場も、相変わらず「大変だ!」というニュアンスの下で語られている。

 国債市場が大きく動いたのは、いうまでもなく4月4日に黒田東彦総裁が率いる日銀の「異次元の緩和措置」が発表されてからだ。
 翌4月5日には、長期金利(10年国債の流通利回り)が一時0.31%をつけて、その後一気に0.62%まで上昇する乱高下となった。
 価格にして3%近い変化であり、債券の取引や保有の単位を考えると、これが大変な変化であることがお分かり頂けよう(外国為替相場だとドル・円の今のレートなら約3円の変動に匹敵する)。

アベノミクスは国債を暴落させるのか

 いわゆるアベノミクスに反対する論者の大きな拠り所の一つが、アベノミクスは国債の暴落(長期金利の上昇)をもたらし、これが、銀行の破綻につながり、経済を混乱させるという懸念だ(典型的には、小幡績「リフレはヤバい!」(ディスカヴァー携書)を参照)。

 しかし、このストーリーは、本当に心配するに値するものなのだろうか。

 結論を先にいうと、筆者は、それほど心配していない。

 先ず、長期金利の水準だ。
 「異次元緩和」以降、一時的に1%に達したとはいえ、現状の0.8%から0.9%くらいの水準(6月3日は0.81%)は、株価が1万5千円前後だったリーマンショックの前の水準と比べても十分低い。当時の長期金利は1.5%前後の水準だった。

 日本の長期金利は、長らく2%を超えていないが、1.5%程度の水準はよくあることだった。

 それだけデフレ期待と景気の低迷が頑強だともいえるので、喜んでばかりもいられない面があるのだが、レベルで見ると現在の長期金利は十分低位に抑制されているといえる。

 また、長期金利はそもそも「相場物」なのであって、徹底的に安定していなければならないというものではない。

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