名門エール大学の学生に聞く 【後編】
「法律の力で芸術や音楽の課題を解決したい!」

2013年06月04日(火) 田村 耕太郎
エール交響楽団との競演 花束をもらっているのが西川さん

【前編】はこちらをご覧ください。

"妄想力"と"行動力"を育むエコシステム

 前回紹介したエール大学のミア・ニシカワ(西川実亜)さんのインタビュー続編。結論から言うと、彼女は将来、法律家かコンサルタントになって、自分を育ててくれたクラシック音楽界の様々な課題を解決したいのだという。私も久々に後ろから頭を殴られたような衝撃を受けた。これこそアメリカ高等教育の哲学ともいえる"Think out of box"の典型である。つまり「とんでもないことを考えて、自分の想定をはみ出せ!」ということだ。

 先日、東大で講演し、東大生たちと懇親の場を持ったが、日米のトップ校の学生を比べてみて、地頭や人間性に大差はないと感じた。唯一違いがあるとしたら、「妄想力」と「行動力」ではないかと思う。とんでもない妄想を繰り広げるためには多様な知識を持たなければならない。その妄想をシェアして練り上げられる場も必要だ。そしてそれを実現するための"行動力"をサポートしてくれる後見人が必要だ。

 前回、西川さんは「音楽から法律まで幅広く学べるプログラム」と「多彩なバックグランドを持つ同級生たちとの寮生活」、「身近でアクセスしやすい教授たち」をエール大学の良さとして挙げていた。

 芸術から法律、科学まで学べるリベラルアーツシステムで、多彩なバックグランドを持つ学生を評価して集め、彼らを寮の中に集めて交流させる。そして、彼らのアイデアや行動に対して経験豊富な教授たちが気軽に相談に乗ってやり、実現を後押ししてやる。この学生の"妄想力"と"行動力"を育むエコシステムこそがアメリカ高等教育の強みだと思う。

 今回は西川さんの妄想力と行動力を、続きのインタビューから堪能していただきたい。

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田村 耕太郎

(たむら・こうたろう) 前参議院議員。エール大学上席研究員、ハーバード大学研究員などを経て、世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を務めた。
国立シンガポール大学公共政策大学院名誉顧問、新日本海新聞社取締役東京支社長。
1963年生まれ。早稲田大学卒業、慶応義塾大学大学院修了(MBA取得)。デューク大学ロースクール修了(法学修士)、エール大学大学院修了(経済学修士)、オックスフォード大学上級管理者養成プログラム修了、ハーバード大学ケネディスクール危機管理プログラム修了、スタンフォード大学ビジネススクールEコマースプログラム修了、東京大学EMP修了。
2002年から10年まで参議院議員を務めた間、内閣府大臣政務官(経済財政、金融、再チャレンジ担当)、参議院国土交通委員長などを歴任。
シンガポールの国父リー・クアンユー氏との親交を始め、欧米やインドの政治家、富豪、グローバル企業経営者たちに幅広い人脈を持つ。世界の政治、金融、研究の第一線で戦い続けてきた数少ない日本人の一人。
2014年8月、シンガポールにアジアの地政学リスクを分析するシンクタンク「日本戦略情報機構(JII)」を設立。また、国立シンガポール大学(NUS)リー・クワンユー公共政策大学院の兼任教授に就任し、日本の政府関係者やビジネスリーダーに向けたアジア地政学研修を同校教授陣とともに実施する。
著書に『君に、世界との戦い方を教えよう 「グローバルの覇者をめざす教育」の最前線から』などがある。