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北朝鮮インサイド情報 もはや裸の王様 金正恩はすでに失脚していた
〔PHOTO〕gettyimages

 金王朝崩壊のカウントダウンが始まった。毎日視察を続ける金正恩は、軍トップ人事を刷新し、中国にSOSを送ったが混乱は続く。拉致問題の解決が見えてくるのは金王朝崩壊後ではないのか。

暗殺の可能性はあるのか

「金正恩政権は、父親の金正日総書記が死去して1年半が経ったいま、大混乱に陥っている。金正恩第一書記は、権威はあるがすでに権力を失った状態だ。つまり単に周囲に担がれているだけで、実質的にはもう失脚していると言ってもよいほどだ」

 こう断言するのは、韓国政府の情報機関である国家情報院の幹部だ。金正恩はもはや、祭りの御輿のような存在だというのである。

 金正恩第一書記も、一時期は、暗殺を恐れて外出を控えていたが、この頃は自分に与えられた〝役割〟を思い知ったかのように、再び精力的に視察に出かけている。

 5月19日には、広さ1万7000m2という平壌市妙香山登山少年団キャンプ場を視察。軍ナンバー2の崔竜海総政治局長を始め、軍と党の幹部がズラリ同行した。朝鮮労働党機関紙『労働新聞』(5月20日付)は、次のように報じている。

〈敬愛すべき金正恩元帥様は、キャンプ場の食堂を特別に視察された。そこには基本的な食品はもちろんのこと、肉類やアヒル、野菜なども、数多く配給されているのを知り、大変満足げにお言葉を述べた。「このように現代的な設備の台所が大事だ。こうあってこそ、全国の子どもたちが幸福の笑顔に満ちあふれ、社会主義の笑い声も広がるのだ」〉

 だが同日夜には、朝鮮中央通信が、平壌の農場で飼育されていたアヒルから鳥インフルエンザが検出され、計16万羽も処分したと報じた。

 翌21日付『労働新聞』は、金正恩第一書記が2ヵ月ぶりの朝鮮人民軍部隊の視察となる第405軍部隊を訪れたと報じた。

〈兵士の寄宿舎の調理場に足を踏み入れた最高司令官同志は、調理場をご覧になり、「魚はどうやって供給しているのか」と問われた。そしておかず倉庫に満載になった食材を見て満足された。

 次に「トウモロコシ倉庫」と書かれた看板を目にして「トウモロコシ倉庫だ!」と何度もはしゃがれ、「軍部隊を視察するたびに倉庫にトウモロコシが満載になっているのを見て、兵士たちが食卓で大いに満足している姿が目に浮かんで嬉しい」とコメントされた。そして、「トウモロコシの一粒一粒を、銃の一発一発の弾だと思えば、大量に生産せねばならないとの覚悟を持つ」との重要なお言葉を賜った」〉

『労働新聞』によれば同日、朝鮮人民軍第621号育種場のヤギの様子も視察したという。

 最近の一連の金正恩第一書記の視察で共通しているのは、「不意打ちで台所に入る」ことである。その結果、「食料が満ちあふれていることを発見し、喜ばれた」という描写が続く。

 これは何を意味するのか。

「『労働新聞』の記述は、実際はその正反対だと考えれば分かりやすい。すなわち、全貿易の8割を占める中国の経済制裁が直撃し、最も大事な軍部隊にも食料が行き渡らなくなって焦っているということです」(前出・国情院幹部)

 北朝鮮は、昨年12月に長距離ミサイル実験を強行し、今年2月には、3度目の核実験を強行した。これによって、3月に国連安保理が厳しい経済制裁を全会一致で採択。これまで北朝鮮の〝後見役〟を務めてきた中国も、「制裁の完全履行」を確約した。実際、食糧・重油・肥料の無償援助を半減させたり、中国の4大国有銀行にある北朝鮮資産を凍結したりした。

 中国は、3月に習近平主席の新政権が発足し、それまでの胡錦濤政権とは、北朝鮮に対するスタンスが大きく変わってきているのだ。

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