家事は所得を生み出すための「必要経費」である! 女性が生き生きと継続して働ける環境を整備するために「家事支援税制」の創設を!

 日本は、世界に類を見ないスピードで少子・高齢化、人口減少社会を迎えている。人口減少が招くものは、労働力人口の減少という経済問題ばかりではない。次代を担う世代の数が相対的に減っていくということは、わが国の知力や安全保障を危うくし、医療・年金・介護・福祉等の社会保障の仕組みの持続性を低下させ、ひいては国力そのものを減衰させていく可能性をも意味しているということだ。

 そのための対策として考えられる施策として、まず最も重要なことは、自ら働こうとしないニートやフリーター等の現役の若者が進んで働くようにすることだろう。加えて重要なのは、高齢者、女性、そして外国人材の労働参加。中でも最も社会全体のパワーアップにつながるのが女性の着実な労働力化であり、社会で活躍する女性を増やすことこそが、現在日本の緊急課題だ。

 急速な少子高齢化が進展する中、将来にわたり安心して暮らせる活力ある社会を実現するためには、女性が活躍できる全員参加型社会を目指し、女性就業率・就業者数を上昇させる必要がある。女性が生き生きと継続して働ける環境を整備することは、社会のバランスある発展のためにも、そして何よりも女性の幸せのためにも、極めて重要なことであるはずだ。

 ところが、わが国の女性労働の現状をみると、「M字カーブ」問題の解消が遅々として進まない。これは、女性の年齢階層別の労働力率をグラフに表した際に、30代前半が極端に低くなり、M字のようなカーブになることを言う。日本では、出産を機に30歳前後で仕事を辞めてしまう女性が多いので30代の労働力率が低くなり、種々手を打ってきたはずなのに、「M」の字の窪みになったままなのだ。世界でもあまり見られない、日本独特な社会現象だ。

 子供には大人の存在が必要だ。特に新生児の段階では、親や家族がしっかり子育てに当たらねば、心身ともに健全な子供は育たない。そうなると、母親になった女性は1~2年は育児に専念したい、と思うのが自然だろう。両親など他に頼れる家族がいない場合は、その期間が更に延びる可能性もある。そして2人目、3人目の出産となれば、以降のキャリアを諦めなければならなくなることが多い。日本の悲しい現実だ。

自民党日本経済再生本部の提言

 私が本部長代行としてこのほど取りまとめた自民党日本経済再生本部の「中間提言」では、「M字カーブ」問題を解消し、女性が生き生きと継続して働ける国とするために、様々な具体策を盛り込んだ。

 その最たるものが、「家事支援税制」の創設だ。自民党内の女性議員はもちろん、民間人向けの講演などで、女性のみならず男性も、大きくうなずきながら聞いて下さる方が結構多い。今回の中間提言の目玉の1つだ。

【「家事支援税制」等の支援策の検討】
先進国で広く採用されている、低所得の共稼ぎ世帯などにおけるベビーシッターやハウスキーパー、高齢者ケア支援者等、家事支援のための家庭内労働者に対する支出に係る税額控除等の制度を参考にしつつ、女性のみならず、広く働く世帯における就労を支援する制度整備を、既存の制度との整理を踏まえつつ、財源を含め検討する。

 具体的な記述は上記のとおりだ。これまで自民党の税制調査会などでは、家事を国が支援するということについて、真正面から検討したことはない。今回のこの記載により、党内の議論に火がつくことを願っている。

 そもそも、家事労働に対する財政支援は、諸外国では当たり前のように行われていることだ。

 アメリカでは、就労している1人親世帯や夫婦共働き世帯に対し、子供1人の場合は最大3,000ドル(約30万円)、子供2人以上の場合は最大6,000ドル(約60万円)まで、ベビーシッターやハウスキーパー、保育士、託児所等の費用の20%~35%が税額控除される。イギリスでも、子供1人で最大175ポンド(約2.5万円)、子供2人以上で最大300ポンド(約4.5万円)まで、その7割が給付される。

 ドイツの場合も、子供1人につき最大4,000ユーロ(約52万円)まで、その3分の2が所得控除。フランスは、子がいない場合でも最大1万2,000ユーロ(約155万円)までその半額が税額控除され、子供1人で最大1万3,500ユーロ(約175万円)、子供2人以上で最大15,000ユーロ(約195万円)と上限が増えていく仕組みになっている。

 これらの国はいずれも少子高齢化の道を歩みつつあるが、その原因は、女性や働く世帯に対する支援が欠けている結果だと認識し、具体的な財政支援を行なっている。それに対して日本では、声高に問題を叫ぶものの具体的な支援となると急にトーンが下がってしまう、というのが現状だ。

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