日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか?
著者:今野晴貴 第1章より 労働相談に行っても問題は解決しない!?他抜粋〜

【第1章「サービス残業」は、なぜなくならないのか?】はこちらをご覧ください。

労働相談に行っても問題は解決しない!?

 では、こういった状況のなか、実際に自分が「違法」な目に遭い、その労働問題を解決したいと思ったときは、どうすればいいのだろうか?

 労働における問題の解決方法は多様だ。さまざまな労働法が整備されていて、アクセスすることができる。だが、たくさんある法律のそれぞれの利点と欠点を正確に把握することは、専門家でなければきわめてむずかしい。

 そのため、労働問題が巻き起こったときには、「普通の人」である私たちは、社会保険労務士(社労士)や弁護士といった、いわゆる「労働カウンセラー(労働相談員)」に頼ることになる。

 最近では、労働カウンセラーによる相談窓口の存在を耳にする機会も、多くなっているのではないだろうか。

 だが、じつは、そういった労働相談窓口に行ったからといって、問題がすぐさま解決するとはかぎらない。

 私たちPOSSEも年間数百件の労働相談に関わっているが、寄せられる相談の3~4割もが、「相談窓口についての相談」である。

『日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか?』
著者:今野晴貴

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 つまり、問題が解決すると思って窓口に行ったのに、解決しなかったり、場合によっては問題がさらに悪化してしまうこともあるのだ。

 職場で何かトラブルにあった場合、相談する先として私たちがまっさきに思いつくのは、労働基準監督署だろう。

 いわゆる「労基署」である。

 各都道府県の労働局に所属する、厚生労働省の出先機関だ。労働相談に行くと、相談員が対応してくれる(本来であれば、司法警察員の身分を持つ労働基準監督官が対応するべきだが、アルバイトの社労士がまずは対応する窓口もあるのが実情である)。

 この労基署がらみの案件でもっとも多いのは、残業代などを含む「賃金の不払い」だ。賃金不払いは労基署がもっとも得意とするところなので、相談すれば問題はすぐに解決しそうだが、残念なことに必ずしもそうはならない。

 労基署に行ったが解決せずに、私たちのところに相談が寄せられることはじつに多い。

 なぜそんなことが起きるのか?