日印首脳会談の成功は中国包囲網の完成を意味する
握手する安倍首相とインドのシン首相 〔PHOTO〕bloomberg via gettyimages

 安倍晋三首相は5月29日、来日したシン・インド首相との日印首脳会談を実現、終に残っていた「インド」というジグソー(断片)をパズルに嵌め込むことができた。

 これで「安倍戦略外交」というジグソーパズル(嵌め絵)は完成した---。

 大手新聞など各メディアは、安倍・シン会談で両国が締結を前提とした原子力協定交渉再開と、インドの高速鉄道(インド版新幹線)建設に関する共同調査実施について合意したことを大々的に報じた。

 もちろん、世界第2の人口を持つ同国の潜在的な市場価値だけでなく、原子力発電所や高速鉄道など巨額のインフラ輸出相手国であることは、改めて指摘するまでもない。

インドの原発建設計画は2020年までに9兆円

 事実、2020年までに総額9兆円を投じて原発18基を建設することから、国内の原発メーカーが目の色を変えて商戦に名乗り上げているが、日本以外の"原発先進国"の対印売り込みも激しさを増している。

 そしてさらに、来日したシン首相との首脳会談で、インド最大都市ムンバイ(旧ボンベイ)と工業都市アーメダバード間約500キロを結ぶ高速鉄道計画のためのフィジビリティ・スタディ(企業化調査)を年内に行なうことで同意した。

 これもまた、首相のトップセールスとして喧伝された。

 では、日印首脳会談とジグソーパズルはどのような関係にあるのか。

 その解を知るには、安倍首相のこの5ヵ月間の外遊先をトレースするのが一番だ。

 昨年12月に第2次内閣を発足させた安倍首相は、年明けの1月にベトナム、タイ、インドネシア3ヵ国を訪問、2月には念願の日米同盟再構築のため訪米し、オバマ大統領と会談を行った。

 3月末にはモンゴルを1泊2日で訪問。そして4月末からの大型連休中に、ロシアとサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコの中東3ヶ国を歴訪した。

 さらに5月24~26日にはミャンマーを訪れた。

 6月17、18両日、北アイルランド・ベルファストで開催される主要8ヵ国首脳会談(G8サミット)に出席するが、その前日にポーランドに立ち寄る。

 ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーの4ヵ国が形成するビシェグラード4(V4)首脳会談に、日本の首相として初めて参加する。G8サミット後、その足でアイルランドを公式訪問する。首相周辺は今、8月にも外遊を検討している。

 ここに挙げた国々を、以下の順番で列記してみる。

 ロシア→ポーランド→トルコ→ベトナム→インドネシアである。そしてトルコとベトナムの間にインドを入れ、さらにロシアの前にモンゴル、そしてインドとベトナムの間にミャンマーを入れる。

 ユーラシア大陸から中東を経由してインド大陸、そして東南アジアが結ばれ、その弧(アーク)は日本に辿り着く。

 そう、これが「自由と繁栄の弧」構想なのだ。

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