ジブリ最新作主人公(ゼロ戦設計者・堀越二郎)「幻の名機 烈風」の設計図に込めた思い

2013年06月02日(日) フライデー

フライデー賢者の知恵

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烈風の胴体前方底面部分の設計図。空戦実験では、海軍の審査官に「ゼロ戦をしのぐ性能」と判断された
烈風は関係者の証言が錯綜しており、戦後どのように処分されたのかわかっておらず、その意味でも「幻」だ

 ゼロ戦で戦局を打開したかった海軍からは、不可能とも思える多くの要請があった。長距離の飛行や時速500km超の速度を可能にする機体の軽さと、敵機を撃ち落とすための重装備という、相反する性能を求められたのだ。軽部氏が続ける。

「これを実現するために、堀越は、九試で開発した沈頭鋲に加えて主翼のねじり下げなどの技術を開発します。沈頭鋲は、機体を打ちつける鋲の頭を削って、少しでも空気抵抗を小さくし、機体を軽くする工夫。ねじり下げは、翼にわずかな角度をつけることで乱気流を防ぐ工夫です。こういった積み重ねで、ゼロ戦は速さ、航続距離、操作性など、どの点でも世界一の性能となりました。

 堀越は3000枚の設計図をチェックしたといわれますが、最終的な調整は、計算ではなく手作業で行われたそうです。のちの『メイドインジャパン』ブランドをほうふつとさせる話です」

 その後、ゼロ戦は海軍の採用を受け、中島飛行機でも量産された。中国戦線、太平洋で活躍し、「ゼロを見たら逃げろ」とおそれられることになる。

 堀越の美と実用性へのこだわりは、戦後、日常生活のなかにも見て取れたという。義理の娘である堀越伸子さんが語る。

「たとえば、急須ひとつとっても、注ぎ口が直角についているものは注ぎにくいと言って、少し手前に角度がついたものを『キレイだ』と言って使うんです。機能美というんですか、そういうものを求める人でした」

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