次の10年でプロフェッショナルなクラブ経営を確立してほしい---藤田俊哉氏の壮行試合で感じたJリーグの歴史と課題

2003年12月、横浜で行われた東アジアカップの日韓戦より 〔PHOTO〕gettyimages

 過日、ジュビロ磐田と日本代表で活躍した藤田俊哉氏の壮行試合が開催されました。引退試合ではなく壮行試合と銘打たれたのは、彼が今夏からオランダで指導者の勉強をはじめるからです。私もジュビロOBをメインに構成された『ジュビロスターズ』の監督として、藤田氏の新たな出発を祝う機会にめぐまれました。

 国立競技場で行なわれたゲームには、三浦知良、中山雅史、井原正巳、中田英寿、名波浩、福西崇史ら、Jリーグの歴史を彩った名選手が勢揃いしました。カズこと三浦選手は、いまも現役でプレーしています。

 かつて日本代表を支えたコンビネーションや、Jリーグを盛り上げたマッチアップが実現した今回の機会は、開幕から20年を迎えたJリーグの歴史を映し出してくれました。そうやって歴史を見つめ直すことで、Jリーグが積み上げてきたものを改めて周知させることができます。歴史の重みが増していきます。

 当日は家族連れの観客も多かったようですが、「藤田選手はこんなにすごかったんだよ」とか、「当時のジュビロは強かったんぞ」と、お子さんにお話をしたお父さんもいたことでしょう。サッカーに親しんでもらえるきっかけとしても、意義のあるゲームでした。

 現役選手たちへのエールにもなります。「頑張ってプレーを続ければ、自分もこういう舞台に立てるかもしれない」という目標につながっていくに違いありません。

何よりも大切なのは現場の経験

 世界へ目を向ければ、マンチェスター・ユナイテッドのサー・アレックス・ファーガソン監督が勇退を表明しました。〈赤い悪魔〉の愛称で親しまれるこのクラブには、日本代表の香川真司選手が所属しています。

 ファーガソン監督と言えば、世界に名だたるクラブを27年間にわたって率いた名伯楽です。監督としての能力に優れるのは言うまでもありませんが、リーグ戦の優勝を逃したシーズンもあります。

 タイトルを取れなければ、ファン・サポーターはストレスを募らせます。メディアに対しては、批判の材料を与えることになります。「長期政権でマンネリ化している」といった指摘も、もっともらしいものとしてチームに迫ってきます。

 そう考えると、かくも長期間にわたって監督を代えなかったクラブのビジョンに、私は深い共感を覚えずにいられません。

 監督を志すものなら誰でも、理想とするサッカーを胸に秘めています。最先端の戦術を語る指導者もいます。

 ただ、どれほど理論で武装をしても、チームを勝利へ導けなければ意味がありません。選手としての実績や経験はアドバンテージになりますが、何よりも大切なのは現場の経験です。マンチェスター・ユナイテッドのフロントも、ファーガソン監督の経験を高く評価してきたのでしょう。

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